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特集

ポスト「減反廃止」戦略 水田経営のこれから


実際に農水省だけでなく、官庁は法学部の出身が出世しますから。法律体系でしばられているのが官庁といっていいでしょう。そういう意味では農水省は経済官庁としての機能が狭められています。
昆 農水省が自ら課題と挙げている農業の構造改革はにっちもさっちもいかない状態になっています。にもかかわらず、農地法を変える方向にはいかないんでしょうかね。
本間 いってしまえば、農水省にとって農地法は最後の砦。もし農地も経済原則で扱いましょうとなったら、いよいよ経産省との統合は目に見えてくる。すでに農水省のなかでも食料産業局には経産省から局長が入ってきて、まさに乗っ取りの第一歩みたいにいわれています。実際に経済官庁としての機能をもっと高めていったら、農水省は必要なくなってしまう。たとえば環境部門は環境省に持っていけばいいわけで。
昆 農地法と農水省の省益は一体になっているということですか。
本間 そう、だからそこは頑として譲らない。驚くほど頑固ですよ。

【交付金漬けでいいのか】

昆 自民党政権は平成30年で転作の配分をなくすといっていますね。いまコメの国内生産量の20%以上は縁故米として、タダで流通している。そこに減反廃止となると、コメの供給は一層過剰になるでしょう。だから農家はいまこそ経営を見直さなければいけないわけですが、実際にはとりあえず飼料米を作って交付金をもらっているわけです。農家にとってみれば、いまは交付金バブルですから、それで御の字なんです。でも、本誌としては、やっぱりそれではいけないということをきちんと伝えていかなければいけない。
本間 確かにいまのコメ政策は早晩破たんするのは見えてますね。飼料用米のコストパフォーマンスの悪さを踏まえれば、それは明らか。何しろ飼料用米を作付けした場合、農家の収入のうちおよそ5分の4は補助金が占めるわけですからね。国民が知ったら、何をやっているのかと唖然とするでしょう。
むしろ昆さんが奨励する国産トウモロコシにシフトするほうがはるかに農業として健全だし、農家のモチベーションとしては高まる。農水省はそのことに気づいているかもしれませんが。ただ、いかんせん、すぐに事態を変えないのが官僚にとっての慣性の法則ですから。金がかかってもなんでも、大臣なり事務次官なりが継続するといえば、ずっと続くわけですよ。それはそれとしてやはりおかしな政策なわけだから、『農業経営者』という雑誌も含めて、周りから反論の声を挙げていかないといけないと思いますね。

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