記事閲覧
【江刺の稲】
地主の末裔たちが農業をリードしている
- 『農業経営者』編集長 農業技術通信社 代表取締役社長 昆吉則
- 第245回 2016年10月12日
- この記事をPDFで読む
出自だけで人々の資質を比較することの問題性は十分理解しているが、なぜ農地改革で農地を失った在村地主階層の末裔たちが現在の農業をリードしているのか。そして、結果として農地改革で失った農地を地主の子孫たちが小作者として改めて集積している理由を農業関係者は問い直してみるべきである。
その検証を通して、我が国の農業政策の根本にある農地改革イデオロギーあるいはそれに基づく「農地法」を根本から問い直すべき時代が来ているのではないか。同時に、現在の小農を温存させる政策から農業経営者に焦点を当てた政策に転換すべきだと思う。
さらに、農地改革と同時進行的に成立してきた戦後の農業協同組合の初代の組合長たちの多くは農地改革でわずかな自作地を残して二束三文で農地を買いたたかれた元地主たちである。インフレが進む時代にタダ同然の形で農地を奪われたと当時の地主たちは思ったはずだ。そんな農地改革を経たにもかかわらず次代の農村リーダーに元地主たちが民主的に選ばれていったのはなぜなのか。
その検証を通して、我が国の農業政策の根本にある農地改革イデオロギーあるいはそれに基づく「農地法」を根本から問い直すべき時代が来ているのではないか。同時に、現在の小農を温存させる政策から農業経営者に焦点を当てた政策に転換すべきだと思う。
さらに、農地改革と同時進行的に成立してきた戦後の農業協同組合の初代の組合長たちの多くは農地改革でわずかな自作地を残して二束三文で農地を買いたたかれた元地主たちである。インフレが進む時代にタダ同然の形で農地を奪われたと当時の地主たちは思ったはずだ。そんな農地改革を経たにもかかわらず次代の農村リーダーに元地主たちが民主的に選ばれていったのはなぜなのか。
会員の方はここからログイン
昆吉則 コンキチノリ
『農業経営者』編集長
農業技術通信社 代表取締役社長
1949年神奈川県生まれ。1984年農業全般をテーマとする編集プロダクション「農業技術通信社」を創業。1993年『農業経営者』創刊。「農業は食べる人のためにある」という理念のもと、農産物のエンドユーザー=消費者のためになる農業技術・商品・経営の情報を発信している。2006年より内閣府規制改革会議農業専門委員。
江刺の稲
「江刺の稲」とは、用排水路に手刺しされ、そのまま育った稲。全く管理されていないこの稲が、手をかけて育てた畦の内側の稲より立派な成長を見せている。「江刺の稲」の存在は、我々に何を教えるのか。土と自然の不思議から農業と経営の可能性を考えたい。
ランキング
WHAT'S NEW
- 有料会員申し込み受付終了のお知らせ
- (2024/03/05)
- 夏期休業期間のお知らせ
- (2023/07/26)
- 年末年始休業のお知らせ
- (2022/12/23)
- 夏期休業期間のお知らせ
- (2022/07/28)
- 夏期休業期間のお知らせ
- (2021/08/10)