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【江刺の稲】
地主の末裔たちが優れているゆえん
- 『農業経営者』編集長 農業技術通信社 代表取締役社長 昆吉則
- 第246回 2016年11月04日
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小泉さんも曾祖父の代には自宅から成田山新勝寺まで所有農地が広がっていたらしい。いまどき、自らの出自を自慢気に語る人などいない。小泉さんもそうだ。友人たちから「石油王」とあだ名をつけられるほど、水の吹き出す田に暗渠を入れて圃場改良を続ける小泉さんに、その理由を尋ねたときに彼はこう言った。
「ジイサンやオヤジから受け継がれてきた田を大事にすることをしつけられてきたからでしょうね」
今年、トウモロコシを作った谷地田は、何度も暗渠工事を繰り返し、幅広のコンバインが入れるようにと狭い農道を自ら重機で拡幅した場所だ。小泉家は小作しているその谷地田を親子二代で改良してきた。今年の大雨でも、上の田はコンバインが入れないほどにぬかるんでいたが、下にある彼の圃場には難なく汎用コンバインが入れた。
「ジイサンやオヤジから受け継がれてきた田を大事にすることをしつけられてきたからでしょうね」
今年、トウモロコシを作った谷地田は、何度も暗渠工事を繰り返し、幅広のコンバインが入れるようにと狭い農道を自ら重機で拡幅した場所だ。小泉家は小作しているその谷地田を親子二代で改良してきた。今年の大雨でも、上の田はコンバインが入れないほどにぬかるんでいたが、下にある彼の圃場には難なく汎用コンバインが入れた。
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昆吉則 コンキチノリ
『農業経営者』編集長
農業技術通信社 代表取締役社長
1949年神奈川県生まれ。1984年農業全般をテーマとする編集プロダクション「農業技術通信社」を創業。1993年『農業経営者』創刊。「農業は食べる人のためにある」という理念のもと、農産物のエンドユーザー=消費者のためになる農業技術・商品・経営の情報を発信している。2006年より内閣府規制改革会議農業専門委員。
江刺の稲
「江刺の稲」とは、用排水路に手刺しされ、そのまま育った稲。全く管理されていないこの稲が、手をかけて育てた畦の内側の稲より立派な成長を見せている。「江刺の稲」の存在は、我々に何を教えるのか。土と自然の不思議から農業と経営の可能性を考えたい。
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