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江刺の稲

地主の末裔たちが優れているゆえん

  • 『農業経営者』編集長 農業技術通信社 代表取締役社長 昆吉則
  • 第246回 2016年11月04日

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先月号に、これまで取材してきた本誌読者の多くが地主あるいは自作農の孫ひ孫たちだったと書いた。そして、農業・農村の現在を担う人々の大多数は地主か自作農の末裔だと言っても間違いではないだろうということと、それも時代がいまに近づけば近づくほどその比率は高くなっているように感じるとも触れた。本当はこの書き出しで千葉県成田市の小泉輝夫さんのことを紹介しようと思っていたのだ。
小泉さんも曾祖父の代には自宅から成田山新勝寺まで所有農地が広がっていたらしい。いまどき、自らの出自を自慢気に語る人などいない。小泉さんもそうだ。友人たちから「石油王」とあだ名をつけられるほど、水の吹き出す田に暗渠を入れて圃場改良を続ける小泉さんに、その理由を尋ねたときに彼はこう言った。
「ジイサンやオヤジから受け継がれてきた田を大事にすることをしつけられてきたからでしょうね」
今年、トウモロコシを作った谷地田は、何度も暗渠工事を繰り返し、幅広のコンバインが入れるようにと狭い農道を自ら重機で拡幅した場所だ。小泉家は小作しているその谷地田を親子二代で改良してきた。今年の大雨でも、上の田はコンバインが入れないほどにぬかるんでいたが、下にある彼の圃場には難なく汎用コンバインが入れた。

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