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実践講座:したたかな農業を目指す会計学 続・入るを計り出を制す!

第二十三章 投資の心構え(4)減価償却と負債償還計画のバランス

トラクターの生産・販売動向

皆さんは我が国のトラクターの生産実績をご存じだろうか。他愛もない雑談から興味が湧いたので、一般社団法人日本農業機械工業会のホームページを眺めてみた。
昨年のトラクターの国内生産実績は15万台を少しだけ上回る。そのうち国内向けの生産は約4万5000台と3割を占めるだけで、残りの約10万台は輸出向けの生産である。統計データをもう少し詳しく見ると、中古トラクターの輸出も6万台を超えている。その輸出先の第一位は近年、ベトナムが群を抜いてダントツだ。中古は約2.7万台にのぼり、新車も合わせると、約16万台が輸出されている。
北海道でよく耳にする「トラクターはロシアに行く」という説も、ロシアへの輸出台数は2000台強と第三位にランクインしていて、決して嘘ではなかった(笑)。いずれにしても、国産トラクターの海外市場がここまで大きくなっていることには、正直驚いた。日本の農機メーカーが外貨を獲得して活躍するのは結構だが、海外で儲かるからといって国内のユーザー向けの製品の質やサービスが低下しては困る。国内の農機価格を安くしてほしいと切に願うというのが農家の本音であろう。
さて、一方の輸入動向はどうなっているのだろうか。昨年のトラクターの輸入台数は、EUを中心として約1500台に及ぶ。今年は8月までで、すでに1500台を超えた。200馬力を超える海外製の大型トラクターを導入する酪農家、畑作農家もこの中に含まれる。 
最近は国内の農機メーカーも輸入農機を扱う販売店も在庫を置かなくなってきているので、1年間で出荷されたトラクターは国内生産と合わせると約4.7万台と考えてよいだろう。農業経営体は約130万戸、耕地面積は約450万haだから、日本では28経営体に1台、あるいは96haに1台のペースで、毎年トラクターが新調されていることになる。30haの経営では3~4年のペースで1台購入し、毎年30人に1人はトラクターの新車を手にしている計算になる。新車の減価償却は法定耐用年数の7年だから、なんと景気のよい話だろうか。
乏しい分析で、世界のトラクター事情にも精通していないが、単に補助金需要であれば考えさせられる数字である。経営では収支が整い帳尻が合えば、買い物ができる。キチンと経営が発展していくための投資として、トラクターが新調されているのであれば申し分ない。経営者自身が必要とした投資ならば、それはそれぞれの判断であろう。

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