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新・農業経営者ルポ

朝市、自宅販売、自前の直売運営から学んだ多品目野菜づくり

それは30年近く前までさかのぼる。パラソル1本立てただけの小さな小さな野菜直売所。自宅前で母が始めたものだった。評判を呼ぶ「茅ヶ崎海辺の朝市」のリーダー・三橋清高は、幼いころからその経緯を見ながら育った。彼の野菜づくりにおける原点でもある。直売施設に出すのではなく、自前で運営しながら経営の根幹にまで育ててきた三橋の足跡をたどる。 文・写真/八木誠一
茅ヶ崎海辺の朝市。毎週土曜日に開かれる。会場は茅ヶ崎公園野球場。地元出身サザンオールスターズ伝説のライブ会場にもなったところだ。敷地の脇は134号線。この国道を隔てて広がる相模湾。海岸は「サザンビーチ」と呼ぶ。沖合には正月の箱根駅伝で必ず紹介される烏帽子岩も見渡せる。
会場脇をママチャリにサーフボードをくくりつけたウエットスーツ姿の女性が海に向かって通り過ぎていった。地元サーファーだろう。続いて真っ赤なフェラーリ(テスタロッサ?)。いかにも湘南らしい。なんて勝手に思っていたら、ママチャリサーファーはよく目にするものの、フェラーリはたまたまだったらしい。

行列のできる
茅ヶ崎海辺の朝市

11月12日、伊右衛門農園一行が軽トラ2台に野菜を積んで会場に到着したのは朝7時半ごろだった。まだ他の出品者は来ていない。一番乗り。すでにお客が行列をつくっている。この日の朝市出品者は10軒。シーズンにより違いはあるが、最近はだいたいこの軒数だという。うち野菜が7軒、花(切り花、鉢、フラワーアレンジメント、球根など)が3軒。
同じ野菜でも店により違いがある。伊右衛門農園は基本的にきれいに洗って販売。泥付き中心にしている店、無農薬を売りにしている店、ミニトマト専門店もある。お客にはそれぞれお目当ての店があるらしい。その場所に並んで待つ。
出品者の名前が事前に表示されているわけではないのに、各設置区画が頭に入っているようだ。常連客が多いということでもある。伊右衛門農園の区画に並んでいたのは20数人。その数は8時の販売開始が近づくに従って、しだいに増えていった。
すぐに積み荷を降ろして販売の準備にかかる。軽トラの荷台とテーブルに野菜を並べ、手書きの値札を置いていく。
販売スタッフは三橋を含めて計6人。三橋と母・絹代、常勤の勝美直弥以外はパートあるいはボランティアのお手伝いさんだ。他の出品者が1人か2人で客対応しているのに比べると格段に多い。

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