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土と施肥の基礎知識

土壌診断は穴掘りから

1.「土づくり」とは

「土づくり」とよくいわれるが、土とは自然が長い時間をかけて作ってきたもので、人の力で作れるような代物ではない。また、人手の加わっていない土では自然の物質循環が成り立っているため、数年や数十年でその性質が大きく変化することはない。しかし、土を農産物生産の場として利用すると、土の中の環境が一変してしまう。
耕すと、土の中に酸素が供給されて土壌微生物の活動が活発になり、腐植が分解される。また、農作物を育てるために土壌改良資材を施用すれば土の性質が変わる。さらに肥料の施用と農作物の収穫により土の中の養分量が大きく変化する。すなわち、「土づくり」とは土をつくるということではなく、「土の環境管理」あるいは「土の健康管理」と考えたほうがよい。

2.根のつもりになって穴を掘る

人の健康管理に健康診断が欠かせないように、土の健康管理には土壌診断が不可欠である。土壌診断とは畑や水田から土を採取して、窒素・リン酸・カリなどの養分量を分析することと思っている人が多いようだが、それは大きな間違いである。最も大切なことは、農家自身が作物の根のつもりになって、写真1のようにスコップで穴を掘ることだ。
通常、作土は軟らかく根が伸びやすい状態になっている。問題はその下層で、最近の野菜畑では大型トラクターの度重なる走行により緻密化しているケースが目立つ(写真2)。穴を掘り下げるのに額から汗が出るようであれば、作物も根を充分伸ばせず、水はけも悪くなる。そのような場合にはサブソイラーなどによる深耕が有効だ。また穴を掘れば、作土の厚さや団粒化の状態を知ることもできる。土の中での根の分布や量、あるいは根腐れやこぶの有無など根の状態を調べることも大切である。

3.土壌診断分析では
試料の採り方が最重要

作物の生育に影響を及ぼすもうひとつの要因が土壌の化学性だ。穴を掘ればわかる土壌の物理性とは異なり、化学性は土を見たり、触ったり、舌でなめてもpHや養分の量はわからない。そこで必要となるのが土壌診断分析である。

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