ナビゲーションを飛ばす



記事閲覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック

イベントレポート

地域の人・もの・環境を活かした農村産業/農村経営研究会 2016年第4回定例会

講師:伊藤秀雄氏 (農業生産法人(有)伊豆沼農産 代表取締役社長) 農村経営研究会は2016年11月17日、第4回定例研究会を開催した。事務局長の昆吉則は、講師として招聘した伊豆沼農産(宮城県登米市)の伊藤秀雄氏を次のように紹介した。 「伊藤氏はまさに農村経営者だと思う。ないものねだりをするのではなく、あるもの探しをすることによって、地域の人々に自信を持たせる活動をしている。そのうえで、伊豆沼の食文化や風土を活かし、都市の子どもたちや訪日外国人の迎え入れをしている」
伊藤氏は、「地域の人・もの・環境を活かした農村産業」と題し、伊豆沼農産の事業を紹介しながら、なぜ農村産業が必要だと考え、どんな産業を構築しようとしているのか報告した。

なぜ農村産業が
必要なのか

伊藤氏は、農村経営に似た概念を「農村産業」と呼んでいる。伊豆沼農産の事業活動を通じて発想した言葉である。
伊藤氏は1988年の創業時、農業を産業化しようと「農業を食業に変える」を理念として掲げた。それから28年経ったいま、手がける事業は多岐にわたる。稲作と養豚のほか、ハム・ソーセージなどの食肉製品加工業、惣菜、アイスクリーム、パン・酒類の製造・販売、レストラン運営、自社製品と地域農産品の直売所の運営。主力のブランド商品「赤豚」は香港への輸出もしている。
このような事業を展開するなかで、伊藤氏は外の力を使った経営に力を入れてきた。黒豚の産地の鹿児島にあえて赤豚を売り込んだり、香港に輸出したりすることによってメディアに取り上げられる機会を増やした。都市から地元へと情報発信することで地元の人々の自信や誇りを取り戻すことができたという。
「食業」がビジネスとして成立すると、04年ごろからは次第に「農村産業」への関心が高まっていった。
伊藤氏が考える「農村産業」は、人・もの・環境といった農村ならではの資源のなかに価値を見出して農村に人を呼び込み、それをビジネスとして成立させようというものだ。そこに着目した理由はこうである。
農村が資本や能力を持つ外部の人たちに負けない点は、農村ならではの人間関係だと確信している。農村で生まれ育った自分たちこそ、人の価値を活かした産業を最初につくることができると考えた。たとえば高齢者は竹とんぼの先生やしめ縄の先生になることができる。これは産業にするだけではなく、高齢化や人口減少が進むなかにあっても、地域の高齢者が豊富な知識と技術を活かし、生きがいを持って、元気よくはしゃいでいる。そんな地域づくりを目指している。

関連記事

powered by weblio