ナビゲーションを飛ばす



記事閲覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック

イベントレポート

トランプ大統領当選の背景とこれからの農業問題/『農業経営者』定例セミナー

講師:浅川芳裕氏 (ジャーナリスト) ドナルド・トランプが米国第45代大統領に当選したのを「青天の霹靂(へきれき)」ととらえる見方が多い中、本誌元副編集長の浅川芳裕氏は、その当選を共和党の予備選時にすでに確信していた。メディアや「識者」が大がかりな世論調査や分析力を駆使しても予想できなかったトランプの当選を、浅川氏はなぜ見抜くことができたのか。そして大統領に就任した後、トランプは何をしようとしているのか。
2016年12月2日に開催された浅川氏によるセミナーは、こうした疑問に応えるとともに、トランプについて一般にいわれているイメージをくつがえすものでもあった。
トランプはその過激な発言から「暴言王」と呼ばれ、政治家としての資質を疑問視する声はいまだに多い。しかし、浅川氏は開口一番、トランプは「知性のかたまり」だといった。
「知性と暴言とは反対に聞こえるかもしれないが、本来の知性とは、人間の感情をすくいあげたり、ゆさぶったり、抽象化したり、ビジュアル化したりして、人を動かすことができる力」だと浅川氏はいう。そうした人心を掌握するトランプの能力については浅川氏の著書『ドナルド・トランプ 黒の説得術』(東京堂出版)をぜひお読みいただきたい。

メディアは神が創造した
もっとも不誠実な存在

浅川氏とは逆に、どうしてメディアはトランプ当選を予想できなかったのか。その理由を一言でいえば、方法論があったかないか。浅川氏にいわせれば、日本のメディアは米国メディアの劣化コピーにすぎない。その米国メディアにしても中立な存在ではない。
メディアは、自分たちの偏見や先入観や願望を候補者に投影し、その先入観にあてはまりそうな世論調査の数値を引っ張り出して権威づける。そこに事実に基づいた分析は存在しない。だから、今回のように自分たちの予想が実際の選挙結果とちがった場合、論理的な説明ができない。こうしたメディアの本質を見抜いていたトランプは「メディアは神が創造したもっとも不誠実な存在である」と述べているほどだ。そうやってほとんどのメディアを敵に回しながらも、トランプは勝利した。
では、浅川氏はどのようにしてトランプ勝利を確信したのか。彼はまず仮説を立てた。それは「現在の多くの米国人の潜在意識では、オバマ政治の存続阻止を願っているのではないか」というものだった。その検証にあたって注目したのは、候補者自身の発言と、それに対する有権者の反応である。候補者の発言とは、ホームページやSNS、演説や討論会など。有権者の反応とは、同じくSNSやブログなどである。

関連記事

powered by weblio