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農業は先進国型産業になった!

土地・人材・技術革命がそろった大規模農家 (有)ソメノグリーンファーム(茨城県坂東市)

今から38年前、叶芳和氏は『農業=先進国型産業論』(日本経済新聞社1982年)を発表し、当時の農業界に大きな波紋をもたらした。いわゆる農業関係者の評判とは裏腹に前を見つめていた農業経営者たちは歓呼の声を上げた。「農業経営者」という言葉もこの本で叶氏が最初に使ったものである。本誌はそれに倣い、誌名を『農業経営者』とした。叶氏はこの著書の中で、日本農業は土地革命、人材革命、技術革命、市場革命の4つの革命が進み、「先進国型産業」になると展望した。そして今それが実現している。このシリーズでは叶氏に改めて各地の農業経営者を訪ねて先進国産業として成立しつつある日本農業を再訪していただく。
10年前に65haだった経営規模が115haに拡大している。借地で毎年5haずつ規模拡大してきた。稲作は乾田直播で生産性を高めているほか、コメも小麦もソバも全て個人出荷で、農協出荷より高値安定している。顧客志向、利潤動機で経営するイノベーターだ。米国向けコメ輸出も始まった。

[1]115haの大規模経営農家

染野実氏(56歳)の農場は、日本農業の将来像を具現化している。100haを超える規模、高い経営者能力、乾田直播の導入など、筆者からすると夢に描いてきた農家像だ。
筆者は38年前、日本農業は土地革命、人材革命、技術革命、市場革命の4つの革命が進み、「先進国型産業」になると展望したが(拙著『農業=先進国型産業論』日本経済新聞社1982年参照)、関東平野のど真ん中で、まさにそれが実現しつつある。
ソメノグリーンファームは茨城県坂東市にある(旧猿島郡沓掛村)。平場の広大な耕地が遠くまで広がっている。遠くに筑波山が見える。今やここは染野の農場の領地である。染野実氏は農家5代目で、81年、県立農業大学校(2年間)を卒業して就農した。父は水田と葉タバコを経営し(水田3ha、畑1ha)、冬は出稼ぎという典型的な兼業農家であった。当時、水田1ha、畑1ha、山林(平地林)1haあれば、地域で「長者」と呼ばれていた頃なので、4ha規模は大きい農家であった。染野氏はオヤジの背中を見て農業に就いていた。

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