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成田重行流地域開発の戦略学

足はローカルに考え方はグローバルに

この一年余りの間、地域開発プロデューサーの成田重行さんと、彼が携わった取り組みをめぐる旅を続けてきた。最後に、総括として成田さんにインタビューした内容を2回に分けて紹介する。今回は、成田さんが今の地域開発の現状と課題をどう見ているか、さらにはその課題を乗り越える実践法について述べる。文/窪田新之助

じつは危うい
地方の活性化の実態

地域に関しては一見明るい報道が出ている。たとえば道の駅やJA主催の野菜市などは新鮮・安価・大量に重点を置きながら展開して、何億円を売り上げただとか、どれだけ人が集まっただとか。あるいは郊外には大きな駐車場を持つ大手チェーン店が乱立して一大商圏をつくっているだとか。報道の仕方次第で、地域はすごいといった感じを受けます。
でも報道された現場をよく見ると、従来の地域に密着した商店が大手に吸収され廃業に至っている。商店街の悲惨さというのはものすごい。この構図が全国どこでも同じパターンで進んでいる。大手の動きだけをクローズアップすると、地域も発展しているなと思う。けれども、大手は売り上げが減少してきたら、さっさと新しい土地を求めていく。一見、地域の元気さに見えるけれども、根本的には地域の発展につながっていない。その怖さはいろんなところで現実になっている。
近頃そういう反省を踏まえ、行政が主体になって地域の伝統的な文化を売りにする動きがある。外国人旅行者に伝統に触れる観光を促して、モノではなく文化、コトを売っていこうとしている。それには補助金が出ている。しかしどれもトップダウン型のワンパターンに過ぎない。
やり方としては地域の伝統工芸品を、多額のお金をかけて展示公開する博物館の手法。客から見ると、その地域に住んでいる人の存在が遠く感じられ、決して共感を得られない。だから一過性になっており、箱モノ行政のパターンに近い。地域の生活や人の感情が不在で、無機質になってしまっている。これでは、地域の本来的な活性化につながっていきません。

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