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特集

耕作放棄地活用「次の一手」

このままでは農業者の高齢化・離農にともなって、耕作放棄はさらに進む。政策的支援も講じられてはいるものの、歯止めはかかっていない。すでに全国の荒廃農地は40万haを超えた。この数字は、減りつづけている日本の全農地面積の約1割にも当たる。いっそのこと山林に戻すというのもひとつの手ではあるだろう。しかし、ここでは中山間地を中心とした、耕作放棄地化を事前に食い止め活用する手立てを考えたい。 これまで本誌は子実トウモロコシ生産など、おもに平野部水田における畑作技術体系導入を勧めてきた。こうしたイノベーションは中山間地でも必須の課題となっている。たとえば放牧地への転換による畜産関連事業の新たな新展開。今回は、そうした事例のいくつかを紹介する。

Case1
[放牧酪農]
ニュージーランドの
管理放牧技術を日本で展開
小谷 栄二氏 ファームエイジ(株)代表取締役

日本の酪農において、これまで放牧は一部に限られてきた。農地が余り、耕作放棄が進む今こそ、放牧が見直されるべきではないか。ニュージーランドの管理放牧技術の導入を進めている小谷栄二氏に聞いた「未来の財産をつくる」方法。獣害に苦慮する中山間地での活用も期待できる。

ニュージーランドは丘陵地を利用した酪農が盛んで、放牧技術が進んでいる。小谷栄二氏は、このニュージーランドの放牧技術を日本に導入した人物である。また家畜と同じように野生動物も管理することによって、獣害問題を転じて事業化に発展させている。
ニュージーランドの酪農は、日本に比べて1頭当たりの乳量も少なく、乳価も安い。そのため乳量を増やすことを目指してきた日本では、あまり注目されてこなかった。しかし、小谷氏はニュージーランドの酪農家たちの生活水準が高いことに着目し、その放牧技術を日本で展開しようと考えた。
小谷氏が取り入れたニュージーランドの経営の考え方と放牧技術とはどのようなものだろうか。

【低コスト高利益
ニュージーランド酪農】

先進国のなかで乳価がいちばん高いのは日本である。いちばん安いのはニュージーランドで、1kg当たり約37円と日本の半分以下である。また日本の年間の搾乳日数は平均306日、1頭当たりの乳量は9000kgを超えている。ニュージーランドは平均228日、約4000kgと、やはり日本の半分以下。日本では乳量が多いほうが良いという考え方のもと、穀物を使った配合飼料を与えて年中搾乳しているが、ニュージーランドでは基本的に草のある時期だけ放牧し搾乳している。

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