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今年の市場相場を読む

機能性表示で普及・拡大しそうな野菜類 ホウレンソウ/タマネギ/ゴーヤー/ミニトマト

機能性表示食品制度は、2015年4月に始まった。開始1年で認知度は8割まで進んだが、実際に購入した人2割強。これまでの制度と異なり、産地や企業などが自らの判断で表示できるため、現在、申請件数は500件を超えるといわれる。しかし販売前に安全性や機能性の根拠の届け出が必要で、文献を揃えるには多額の費用がかかる。2年が過ぎた現在も、生鮮食品で実際に表示できるのはミカンとモヤシだけだ。そこで農研機構は産地や小売店と組み、ホウレンソウなど数品目の機能性農産物普及プロジェクトを進行中。そんな品目群の10年(16年は天候被害が多かったため、05年対15年)を比べてみる。

ホウレンソウ
漸減傾向は温暖化の影響か。寒締めは抗酸化機能増大

【概況】
東京市場へのホウレンソウ入荷を、05年対15年の10年間で比較すると、数量は15%減り単価は18%高くなった。とくに8月を中心とする夏ホウレンソウは25%程度減っているが、寒さがピークとなる1月の入荷はほぼ変わらない。「緑黄色野菜」の代名詞でもあるホウレンソウは、寒冷な気候を好む植物である。年間を通じて入荷減少傾向になっているのは、近年の温暖化の影響も無視できない。
【背景】
ホウレンソウは鉄分が多く貧血などに効くとされていたが、最近の研究では含有するルティンが目の網膜細胞の酸化を抑制し、黄斑色素密度を上昇させる機能性成分や、抗酸化機能があるフラボノイドが豊富に含まれることが分かってきた。とくに、葉物野菜の寒締め栽培の技術開発をした農研機構の東北センターでは、ホウレンソウを33日間寒締めすると、抗酸化機能や多種のフラボノイドの総量が2~2.5倍に増大することを証明した。
【今後の対応】
野菜の供給が減少する冬期に、葉物野菜を寒締めすると糖やビタミンCが増加して「美味しく」なる。さらに機能性の面でも優れていることを明らかにすれば、消費拡大にも寄与する。植物は低温にさらされると、「活性酸素」が増加して酸化ストレスが上昇する。この酸化ストレス上昇を防ぐ仕組みとして「抗酸化物質」が増加するのだ。夏ホウレンソウは業務用で一定量は必要だろうが、冬場のホウレンソウはもっと増やしていい。

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