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農業は先進国型産業になった!

輸入ネギ圧力で発展した銘柄野菜産地 JA岩井 園芸部会(茨城県坂東市)

茨城県県西地区は首都圏市場への野菜の巨大供給基地である。利根川の水、広大な平野、東京まで50kmの近さという地勢学上の有利さがある。その地で、坂東市岩井地区は県内屈指の野菜産地として発展している。しかし、高所得農業の実現は地勢学上の有利性だけではなく、逆転の発想で夏ネギの前進栽培に成功したことが大きい。 農家に顔を向けた農協である。発展した野菜産地で、「JA」がどのような役割を果たして存在しているか実情を明らかにしたい。
中国からの輸入ネギ危機(2000年)で強くなった。首都圏近郊という地勢学上の有利性だけではなく、JA岩井は夏ネギの前進栽培でイノベーションを起こし、茨城県を全国有数のネギ産地に発展させた。夏ネギは独占的地位にあり、輸入ネギとの競争も制した。
ちなみに、ネギの生産額は1555億円(全国15年)、野菜類ではトマト、イチゴに次ぐ第3位で、栄養価も高く、食生活、健康維持の観点からも重要な野菜品目の一つである。

(1) 夏ネギの銘柄野菜産地

埼玉県の「深谷ねぎ」は全国的なネギのブランドとして有名だ。また、ネギ生産全国1位は千葉県である。しかし、図1に見るように、近年は茨城県が先発両県に猛迫している。後述するように、これは坂東市岩井地区の「夏ネギ」の発展の成果である。近年、茨城県の農業は地力を発揮し、全般的に地位向上しているが、ネギはその象徴的な動きだ。
ネギ生産のランキングは、出荷量では1位千葉5万9000t、2位埼玉4万9100t、3位茨城4万800tである。この上位3県で全国の約4割を占める。産出額でも1位千葉209億円、2位埼玉187億円、3位茨城156億円である(15年)。トップ2県に急迫する茨城県のネギの主産地は坂東市岩井地区(旧岩井市)である。
表1は、季節別、県別のネギ生産量の比較である。埼玉や千葉は秋冬ネギの主産地であるが、夏ネギは茨城県が圧倒している。夏ネギは埼玉4850t、千葉6420tに対し、茨城1万3400tと多い。この茨城の夏ネギを支えているのが岩井地区である。
坂東市岩井地区は、関東平野のほぼ中央、茨城県の南西部に位置し、東京から50km圏内にある。南側に利根川が流れ、地形はおおむね平坦で畑地が広がっている。気温も比較的温暖で、野菜作りに適した地域である。大消費地東京に近いという好条件のもと、ネギやレタスは全国トップクラスの生産量を誇る野菜産地である。

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