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特集

乾田直播 できない理由探しはもう止めよう

この特集は、乾田直播あるいは畑作技術体系による水稲作を取り組むことに躊躇されている方々に向けたものである。よく移植体系から直播にすることが水田農業のイノベーションだと考える人が多いが、本誌は、代掻きをせず乾田あるいは湛水状態での直播が自由にできる水稲作を実現することが我が国の水田農業のイノベーションだと考える。 もちろん、現状の府県の水田地域では、代掻き移植を前提とする慣行の水利条件ゆえにままならないということもあるが、多くの人は水稲作を無代掻きにする、あるいは代掻きをしないでの乾田直播や湛水直播にしないことの弁解として“できない理由探し”をしていないだろうか。
本誌は一方で「経営にとっての最高ではなく最適を選ぶべきだ」と述べてきた。同時に、中山間地で田植えがあることを含めて特徴のある稲作を行なうという経営の在り方も否定はしない。
しかし、平場の水田農業に取り組む経営者にとっては、これまで水田農業で当たり前とされてきたロータリー耕そして代掻き、田植えという慣行作業体系から自由になることが経営の存続を左右しかねない時代状況になっている。
もちろん、様々な条件から水稲作業の技術革新に取り組めないでいることは承知している。しかし本当にそうなのだろうか。
考えてみていただきたい。稲作のある先進国で直播というよりロータリーで耕うんをし、代掻きをしている国があるだろうか。フランスやイタリアといえども、水の溜まる場所で水稲作が行なわれている。でも、そこでは当たり前にディスクプラウやボトムプラウで耕し、駆動式の代掻きハローなどは使わない。かの国と日本とのコメ生産コスト差が圃場規模や経営規模の違いとしてばかり語られるが、こうした技術体系の違いが指摘されることはまずない。
我が国の圃場区画のあまりの小ささが障害になっているのは事実だとしても、水稲作における慣行水田作業体系から畑作技術体系への転換は、長期的にはコメ市況の低迷が想定される中で必須のことである。今後、米価上昇を政治・政策的に求めていくことに無理があることはどなたも理解しているはずだ。コメ市況を高値維持するために高額の交付金をばら撒いて飼料米作りを勧める水田政策はやがて国民の支持を得られなくなる。ましてや、交付金で成り立つからと、餌作りにロータリーや田植機を使っていることの異常さに気付くべきだ。

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