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土門「辛」聞

30年産問題 新潟県知事と農水「激論」の裏側

5月24日午後2時の新潟県庁知事室。米山隆一知事が迎え入れたのは、農水省の柄澤彰政策統括官。この日、政策統括官が新潟県庁を訪れたのは、国が減反事務から手を引く「30年産問題」への対応について、国の方針を説明する「地方キャラバン」の一環だった。政策統括官や、部下の農産部長などが手分けして説明のため地方を回っているから、キャラバンと呼ぶ。
「30年産問題」とは、「減反廃止」という受け取り方があるが、正しくは平成30年産(2018年産)から国が「米の生産数量目標の配分」を廃止することを指す。
約30分の会談についての詳細は伝わってこない。ただ激論があったことは容易に想像できる。その日の午前10時からの定例記者会見だ。その会見で米山知事は、「30年産問題」への対応で国を厳しく批判していたからだ。米山知事は、政策統括官と会談でも持説を譲らず、激論になったと推測する。
「30年産問題」への対応で最大のポイントは、配分の廃止となる生産数量目標の役割を何に置き換えるかだ。ベスト・アンサーは、現物と先物の両市場を整備しておくことだった。そこでの価格や指標が、生産調整(減反)のシグナルとなるからだ。残念ながら両市場とも農協組織の猛反対にあって未整備状態だ。
そこで国が思いついたのが、生産数量目標に代わるものを都道府県に出してもらうことだった。「目安」と呼ぶものが、それだ。「30年産問題」への対応で現場の不満は、国が現物と先物の両市場を整備もせず、「目安」という形で生産調整の役割を現場に押しつけられたと思っていることだ。記者会見での米山知事の発言はそうした現場の意見を代弁したようなものである。

国からの強い要請

午前10時に始まった記者会見は、冒頭3分間に知事からの報告があり、そのすぐ後の質疑応答で記者が取り上げたのが、「30年産問題」への対応として県が打ち出した「生産数量目標に代わる目安」。実は、その2日前の22日に、新潟県は「30年以降の米政策検討会議」の最終報告を公表。その柱が「生産目安」だった。当初、新潟県は県全体の生産目標となる「目安」だけを示す方針だったが、途中で市町村ごとに「目安」を提示する方針に切り替えたという経緯があった。

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