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イベントレポート

オランダ通信・拡大版/『農業経営者』セミナー

本誌ではたびたびオランダを取り上げ、農業視察ツアーも行なってきた。オランダは九州とほぼ同じ面積の国土に約1700万人が住む小国であるが、トマトをはじめ農産物の収量が高いことでも知られ、世界2位の農産物輸出国として先進国農業の象徴とされてきた。今回の講師の紀平真理子氏は、そのオランダ滞在中に同国の農業に魅了され、本誌13年3月号から昨年9月号までの38回にわたる連載「紀平真理子のオランダ通信」で、先入観のない視点でオランダ人とオランダ農業の実像を描いてきた。
編集長の昆はセミナーの趣旨を次のように説明した。
「日本はオランダの農業を学ぶことに入れ込んだ時期があった。しかし、すでに海外の先進的な技術などを取り入れるという時代は終わっている。いま我々に必要なのは、海外の農業を合わせ鏡にして日本の農業を見直すことである。オランダはもともと商人の国であり、また70年代には普及指導員の制度がなくなり、農業の指導が行政の手を離れて民間企業のコンサルタントに移行されている。一方、日本は風土や世襲を大切にする国民性であり、農業は行政の下で成り立っている。日本はオランダを真似するのではなく、民間ベースでどのように農業のイノベーションを起こしてきたかということを参考にするべきだろう」
紀平氏は、4年半のオランダ滞在中の取材や大学院の研究などを元に、オランダ農業が強い理由として3点を挙げた。

地理的に不利なことが商人の国民性へ

一つめは、オランダが地理的に不利だったことにより、自ら人やモノ、情報を集めようという商人としての国民性が培われてきたことである。中世において人々が欧州を横断する際、オランダは北方に位置するため通り道から外れてしまう。自らモノや情報を集め、それを振り分けるという仕組みは、17世紀に入ると東インド会社に代表される中継貿易(他国から輸入したものを他国へ輸出する貿易)へと発展した。

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