ナビゲーションを飛ばす



記事閲覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック

土と施肥の基礎知識

堆肥は格安肥料

1.堆肥の中身が変わっても、変わらない農家の意識

「土づくり」には有機物補給が欠かせない。農地に施用する有機物は堆肥と新鮮有機物に大別される。
堆肥とは、本来稲わらや麦わら、野草などを野外で積んで腐熟させた資材である。あらかじめ微生物による有機物分解を受けているので、土に施用後は短期間で播種や定植ができる。一方、新鮮有機物には油かすや魚かすのような有機質肥料がある。土に施用すると土壌動物と微生物の働きで分解され、初期に大量の二酸化炭素が発生するので、施用直後に播種や定植を行なうと阻害を受けやすい(図1)。新鮮有機物の初期分解にたずさわる主な微生物は酸素を好む糸状菌(かび)であるため、畑では活発に分解されるが、水田では分解が抑制され作土が酸欠になりやすい。わらなどの新鮮有機物を鋤き込んですぐに湛水すると酸欠によりメタンガスが発生して、いわゆる「沸き」という現象が起こる。堆肥は、日本農業の原点ともいえる水田への施用に適した有機物である。
稲わらのような木質を原料として野外で製造した堆肥には窒素・リン酸・カリなどの肥料成分がほとんど含まれていないため、その施用目的は主に土壌物理性の改善であった。また、堆肥とは別に肥料が必要で、堆肥と肥料の併用施用が当たり前となった。しかし、コンバインの普及や人手不足で、従来の堆肥を作る農家は影を潜め、家畜ふんを原料とする家畜糞堆肥が主流となった。さらに平成11年以降は地下水汚染対策として、野外での家畜糞堆肥製造が規制され、最近の家畜ふん堆肥には多量の肥料成分が含まれるようになった。

関連記事

powered by weblio