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食品の衛生管理で顧客と自分を守る

小さなミスが惨事になりうる食品加工業と飲食業

販売した食品の回収は、ここ10数年、増加傾向で推移してきた。食品事故は顧客の健康を損なうだけでなく、事業経営にも大きなダメージを与える。そんななかでのHACCP導入義務化。それにともなう関連法改正案が2018年、国会に提出される予定だ。認証取得の義務化ではないが、品質管理手法としてのHACCPは必須知識になってきた。文/平井ゆか

小さなミスが惨事になりうる
食品加工業と飲食業

数カ月~1年かけて生産した作物を、お客様に美味しく食べてもらいたい。そんな努力が小さなミスで台無しになってしまうことがある。一次産品の農薬残留や異物混入、二次産品の微生物汚染、表示ミスなどの問題が発生したときだ。
一次産品の青果販売と比べ、六次産業として括られる食品加工業や農家レストラン業などでは、さらに問題が発生するリスクが高まる。家庭で調理される青果と異なり、最終的にお客様の口に入る食品を提供するからである。
食品加工業や飲食業は、衛生管理の責任も重くなる。問題に気づかずに販売してしまった場合、食中毒やアレルギー反応などでお客様の健康を損なう危険がある。販売する前に気づいた場合でも、商品を販売できなくなれば一次産品の生産から加工までにかかった金銭的損失は経営を圧迫する。さらに精神的なダメージも大きい。
問題は、お客様からの連絡によって気づいたり、自社内の調査で気づいたり、保健所の立ち入り調査で判明したりする。もし、そのような問題が起きたら、すぐに保健所に連絡し、公表して商品を回収し、お客様には丁重にお詫びすることが肝心だ。
最近では、健康を損なう可能性がなくても、一個の商品に問題が見つかれば、すべての商品を回収し、商品を交換したり返金したりしてお客様に謝罪する会社が多い。万一の事故に備えるためだけではなく、ひとたびネット上で非難の的になれば、会社や商品の信頼を失ってしまうからだ。大きく報道されるのは大手の食品会社や外食チェーンなどだが、漬物や惣菜など直売所で販売しているような個人事業の二次産品も回収例は多い。
食品回収の件数は2014年度で1000件を超える。表2は最近の事例である。

【一次産品にもこんな落とし穴が】

一次産品の残留農薬や異物混入の対策は高度化してきている。しかし、残留農薬の基準値オーバーなど、作業ミスや知識不足、ちょっとした不注意で回収に至ったもったいない例もある。一例を挙げておこう。

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