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過剰の対策、欠乏の克服

水田の「グライ土壌」は問題か

グライ層とコメの収量の関係
水田地帯の中で湿田とされ、年中水が滞水しているような場所を掘ってみると、土は青灰色から緑灰色でドブ泥のような状態をしており、移植ゴテでさわると壁状になっていた……。こうした経験を多くの人がしているはずです。

このような土はグライ土と呼ばれ、この土がある層をグライ層といいます。「gley」と書きますが、これは、ぬかるみの土塊という意味のロシア語の俗語に由来します。

グライ土にもいろいろありますが、強グライ土と判定されるのは、全層あるいは作土直下からすぐ現れるタイプです。これほどではなく、地表から30~80cmぐらいのところにグライ層があると単にグライ土といわれます。

グライ土の発色の原因が、土の還元とそれに伴う鉄の変化であることは、これまでにも解説してきましたが、こういった現象は、すべて酸素不足に起因しています。この現象の理解とグライ層の位置の調査はできるとしても、より大事な事は、その位置がどの程度、コメの収量と関係しているかを知ることです。

左図で水田でのグライ層の深さとコメの収量について例を示しました。グライ層が位置する深さはどこの水田でも変わらない地域もありますが、そういった地域は、実は大きな平野を形成している場合が多く、中山間地の水田では、その水脈や下層の状況、周囲の地形などによって違いがあります。図を見ると、コメの収量はR~Sにかけては違いがありませんが、グライ層の位置をみると、120~70cmぐらいと違いがあります。次に、コメの収量S~Tにかけては低収量になっていますが、グライ層の位置をみると、70~30cmと浅い所に形成されています。ここから、グライ層の位置に関しては、収量に変化が現れるP点が解明されることになります。この発見こそ、土壌調査が実質的意味を持つポイントです。

つまり、いくつかある土の性質や状態について調べ、ひとつの土壌学の原理に従って問題点を見つけ、さらに、それを改善すると収量が向上する仮説を立て、実行するわけです。こうしたことが、現実に収量増に結びつくといったことが多くあるのです。冒頭で述べた、土壌pHの矯正などもそれに当たります。


土壌調査を活かす考え方

グライ層の位置とそれが水稲作に及ぼす影響を知るには、その地区のグライ層をただ調べるだけではわかりません。土壌についての本を読むと、グライ層が80cm以下の場合は影響がほとんどないとか、50cmぐらいまでになるように改良すればよいと書いてあったりしますが、こういった数値は、その土地によって異なってくるのです。ですから、グライ層が80cm以下の水田の平均収量を知り、それと比べて50cmの水田の収量はどうか、30cmではどうかと、検討していかなくては役に立つ土壌調査にはならないのです。こういった結果、先ほどの図でいうところのP点を見つけることができるのです。ここが掴めれば、これより深い位置にあるグライ層は、暗渠やプラソイラで改善できないとしても、コメの収量には関係ないと判断してよいわけです。

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