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特集

コントラクター成立の機械的条件
「量」から「質」へ、サービスの深化をめざして

いま、各地で一般的な農作業の請け負いは、機械の償却を早める手段として行われるか、「経営請負」という形をとった農業経営規模の拡大として行われている場合が多い。
コントラクターの時代が始まった


 いま、各地で一般的な農作業の請け負いは、機械の償却を早める手段として行われるか、「経営請負」という形をとった農業経営規模の拡大として行われている場合が多い。それは、すでに稲作地帯の経営においては専業的経営を可能にするひとつの条件になっている。

 そして今、さらに作業請負を「業」として発展させた「コントラクター(請負耕作業者)」の時代が始まろうとしている。いうならば農家を顧客として農作業サービスを「業」として提供する専業者である。現状では数少ない例外を除き、農業のかたわらに請け負いをする人々と専業的なコントラクターとの区別は明確ではない。ただし、このニュービジネスの成功者となる最も近い場所にいる者とは、地域社会にいて農村社会や農民の心のヒダが読み取れ、土と作物が見える農業経営者たちであろう。さらにいえば、「サービス業者」としての健全な事業者マインドを持った地元の農業出身者である。

 資本調達の問題などはあるにせよ、その事業的可能性は隣近所を見回せば、そのニーズの大きさはすぐに見て取れるはずである。そして遅かれ早かれ業者間の競争状態が出てくるはずである。作業の季節性が問題になるというのであれば、機械レンタルとの組み合わせや、地域に合った遊休期間を埋める仕事を作ればよいだけである。それを考えるのが経営者の仕事であろう。

 さらに、あえて言えば、そうしたサービスは公的あるいは協同組合的サービスというより、私的事業者の健全な競争の中で供給されていくことの方が、結局は農業の卜ータルコストを下げていくことにっながるのではないか。


顧客に満足を提供するサービスの質


 売手市場の今はともかく、コントラクターを目指す人ばかりでなく、これから作業請負を経営的に成り立たせるためには、単なる処理能力の「量」として請け負う作業が語られるだけでなく、そのサービスの「質」の高さが問われるようになる。例えば提供するサービスに対する収益性のある料金設定を顧客に納得させること、あるいは他業者との競争に勝つことなどのためにである。言い換えれば、単なる「労役」の提供として「請け負い」があるだけでなく顧客に「経済的実利」や「心理的満足」を与え、さらに農作業あるいは栽培や経営についての「コンサルタント」的性格を持ちえる人であることが要求されるのではないだろうか。

 その意味合いで、作業手段としての機械の選択の基準は、時間当たり処理量や負担面積など「量」的な処理能力の大きさだけではすまない。むしろ、顧客に満足を提供できる作業の「質」、サービスの「質」を実現できる機種選定と作業の品ぞろえが必要になるのではないか。

 さらに通年営業、従業員の雇用を確保するための作業種類の多様化は、コントラクターの事業的成立の基本的課題になるはずである。

 コントラクター成立の社会・経済的背景を語るのがこの記事の目的ではない。特に前記の問題意識のうえに立って、栽培の質的向上や季節的な業務拡大に役立つと思われる機械類を紹介してみたい。紙数の都合と、すでに一般的であると思われるロータリやコンバイン、乾燥機などは除外した。

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