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農業経営者ルポ

「土ができれば可能性が見えてくる」

  • 『農業経営者』編集長 農業技術通信社 代表取締役社長 昆吉則
  • 第4回 1994年01月01日

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創刊号から本誌をお読みいただいている読者にはすでにお分かりかもしれないが、ここで紹介する高松求さん(六三歳・茨城県牛久市)は、我れわれがこの雑誌を編集する上で「農業経営の実践のなかで検証する、あるいは実践的経営の中からテーマを取り上げていく」という立場をとるために、さまざまなご教授をいただいている経営者のお一人である。その高松さんの「陸稲の機械化栽培体系確立」への取り組みを紹介したい。
畑で五俵×二万九千円/反


 昨年、高松さんは、耕作する人がなく放棄されて草ボウボウとなっていた隣家の畑など三ヵ所、一・一haに陸稲(陸もち・トヨハタモチ)を作った。作った陸稲の平均反収は、五俵をわずかに上回る程度だった。計画した収量には達しなかったが、いろんな障害があった中での収量としてはまずは上できのはず。陸稲の平均反収は三俵程度が普通で、五俵もとれれば最高の部類だからだ。しかもあの天候である。今回は果たせなかったが、高松さんは少なくとも七、八俵を標準に一〇俵を目指す。そして、栽培中から目をつけていたと思える米業者は、高松さんの陸稲に一俵当たり二万九〇〇〇円の値を付けた。屑米分ち悪い値ではないので、まずまずの経営成果と言うべきであろう。

 高松さんが今回取り組んだのは、ドリルシーダを使って大面積に陸稲を省力栽培する方法であり、同時に荒れ地を畑に回復することもテーマとした。


経験に技術の手駒をそろえたら……


 「陸稲やってみようか?」

 と高松さんが言い出しだのは数年前からのことだ。

 ここ数年間、自由化前の思惑買いもあって、陸稲の自由市場での価格上昇が目立っていた。それでも最初、そう話す高松さんの意味がよくつかめないでいた。むしろ、なんで今どき陸稲なんだろう。高値を狙って一発当てるようなことを高松さんも考えているのだろうか。それとも趣味で面白がろうとしているのか、とさえ思った。

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