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特集

コントラクター=農作業サービスビジネスの現状と可能性

「ニュービジネス」という時、ニューテクノロジーの実用化か、さもなくば奇をてらう一時の風俗に過ぎないものばかりが話題になる。しかし、「農作業請負」の事業化とは、今後間違いなく需要が増大する、まさに時代が求める「ニュービジネス」なのである。しかも、このニュービジネスの成功者となるもっとも近い位置に立っているのは、村にいて農村社会や農民の心のヒダが読み取れ、しかも上と作物が見える農業経営者たちである。すでに、そのニーズの高さは説明するまでもないだろう。しかし、それが無理のない事業として成立するためには、現状ではさまざまな問題が山積している。資金調達や労働力、あるいは村社会にありがちな妬みの感情、行政や農協などの事業が結果として彼らの発展を妨害することになっていることなど、それに取り組む人びとの苦労は多い。一方、請け負いを事業化しようとする人びとのなすべき働きかけ(経営・営業努力)もまた、十分だとはいい難い。もっとも、それらの人びとの営業活動そのものが、事態を変えていくものなのであるとは思う。
コントラクターの発展が農業生産を守る


村の「ニュービジネス」

 「ニュービジネス」という時、ニューテクノロジーの実用化か、さもなくば奇をてらう一時の風俗に過ぎないものばかりが話題になる。しかし、「農作業請負」の事業化とは、今後間違いなく需要が増大する、まさに時代が求める「ニュービジネス」なのである。しかも、このニュービジネスの成功者となるもっとも近い位置に立っているのは、村にいて農村社会や農民の心のヒダが読み取れ、しかも土と作物が見える農業経営者たちである。

 すでに、そのニーズの高さは説明するまでもないだろう。しかし、それが無理のない事業として成立するためには、現状ではさまざまな問題が山積している。資金調達や労働力、あるいは村社会にありがちな妬みの感情、行政や農協などの事業が結果として彼らの発展を妨害することになっていることなど、それに取り組む人びとの苦労は多い。一方、請け負いを事業化しようとする人びとのなすべき働きかけ(経営・営業努力)もまた、十分だとはいい難い。もっとも、それらの人びとの営業活動そのものが、事態を変えていくものなのであるとは思う。

 また、コントラクターの社会的地位を農業界で確立していくために、志を同じくする者同士の競争と同時に、協力と助け合いの連合も必要なのではないか。

 本特集では、そうした視点から、農業経営の延長線上にありながらも、時代の要請にあわせた「サービス業」として業態を変化させていく「コントラクター (農作業請負業)」の可能性を、条件の異なる三つの例を紹介する中で考えてみたい。

 今回紹介するケースは、兼業化は進んできたとはいえ、規模の大きなプロ農家の多い北海道で、農家の作業請負から始まり、現在では、機械リース、作業請負にとどまらず、民間のクラインガルデン (市民農園)の経営までを、将来の事業計画に入れている(株)加藤リース(代表者・加藤健一氏)。借地を含めて七haの農業経営を経営の中心にすえながら、その作業の確かさに、周辺農家から年間五ha程度を各種作業受託している中島輝雄氏。新潟県で学生時代の友人二人が中心となり、地域の農業生産の中核センターとなるべく農協、行政に働きかけて設備資金の補助を受け、法人格として経営請負、農作業請負、精米から切り餅の加工・販売、温室でのシクラメン栽培まで多角的な経営展開を進めてきている(有)ファーミングスタッフ(代表者・安野検一氏)の三例である。

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