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農業法人とはどんなものか

農業経営の法人化は、昭和三七年の農業生産法人と農事組合法人の制度発足以来、すでに三十余年を経過しましたが、今日再び関心を呼び、農政上も熱い期待が寄せられています。
農業経営の法人化は、昭和三七年の農業生産法人と農事組合法人の制度発足以来、すでに三十余年を経過しましたが、今日再び関心を呼び、農政上も熱い期待が寄せられています。

 農業の現場においても、経営の多角化や規模拡大、人材の確保や経営能力の養成などに着目し、農業経営の法人化をめざす動きがここ数年とくに顕著になっています。 ここでは、農業経営の法人化を考える場合の基礎となる「農業法人とは何か」について、とりわけ昨年の農地法改正で事業要件、構成員要件が緩和された農業生産法人を中心にみていきましょう。


農業法人のタイプと特徴


 まず、「農業法人」という言葉ですが、これは“農業を行う法人”のことを呼ぶ一般的な通称であり、法律・制度上の用語ではありません。 農業を行う法人は、稲作や畑作、酪農のように農地や採草放牧地を利用するものと、養鶏・養豚や施設園芸のように農地を利用しないでもできるもの、また、会社法人と組合法人、さらに、個別経営を法人化した一戸一法人、少数の専業的農業者による数戸一法人(協業経営法人)、兼業農家も含めた地域・地縁的な協業組織法人など、設立の動機や経営方針などによって千差万別です。


組合法人と会社法人


 しかし、制度のうえからは農業法人は大きく二つに分けられます。一つは、組合の形態をとる農事組合法人です。もう一つは、会社の形態をとる会社法人です。

 また、これらの法人のなかで、農地法二条の規定を満たすものを農業生産法人と呼び、農業を営むために農地等にかかわる諸権利を取得することができます。


【(1)農事組合法人】

 農事組合法人は、昭和三七年の農協法改正により制度的位置づけがされたもので、農協法の中で法人格が認められています。農業生産面での協業の推進により、組合員の共同の利益を増進することが大きな目的です。

 事業のうえからは、(1)法人自らが農業経営を行うもの(二号法人)と、(2)機械・施設の共同利用や共同作業のみを行うもの(一号法人)、(3)一号、二号を併せ行うもの、と三つのタイプがあります。 このうち、農業経営を行う法人(二号法人及び一・二号法人)は、それ自体が経営活動を行う点で農家と同じ経営体であり、農業協同組合の組合員になることができます。一号法人の場合は、農業者の共同利用組織として農業協同組合に準じた性格を持っています。


【(2)会社法人】

 一方、会社形態をとる法人は、農業においても一般の株式会社、有限会社、合資会社、合名会社の四つの形態があり、営利事業一般を行うことができます。制度については、一般企業の法人制度を利用したものであり、これらの制度を規定しているのは、有限会社に関しては有限会社法、その他は商法で規定されています。


農地の権利取得可能な農業生産法人


 次に、農業法人の制度で重要なのが、昭和三七年の農地法改正によって創設された「農業生産法人」の制度です。農業生産法人は農地法のうえで規定された呼び名で、「農地や採草放牧地を持って農業経営を行うことのできる法人」のことです。

 養鶏・養豚や施設園芸のように農地がなくても生産ができるものは別として、農地を必要とする農業を行う法人は、農事組合法人であれ、会社法人であれ農業生産法人という農地法上の要件(農地法第二条七項)を満たす必要があります。

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