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米戸別所得補償「秋田県を除外も」――赤松広隆農水大臣の発言が大きな波紋を巻き起こしている。在京大手紙は、どこも冷淡な扱いだが、この問題を追っていくと、戸別所得補償導入に伴うコメ行政「大転換」の実相に近づくことができる。
問題発言は8日の記者会見で飛び出した。記者の質問に答えてというのではなく、「今日は、ちょっと時間があるんでゆっくり話しますが……」と前置きして、問わず語りのように赤松大臣が話題を切り出してきたのである。
いきなりで恐縮だが、赤松大臣の議事録はまことに読みづらい。あれこれ考えながらお話しになられているようで、やたら「あれ、それ、これ」の指示語やリフレーン(繰り返し)が多い。発言内容を理解するには特別な才能が求められる。ここでは、農水省作成の会見録を読みやすくするため、発言の趣旨を変えない範囲内でアレンジしておいた。
法律違反になりますので外されることもあり得ます
「この間、大潟村へ行ってきました。大潟村で、あれだけ反目し合っていた人たちが、いま、本当に仲良くなって、いままで減反やってきた人、反対してきた人、それが本当に一つになって、これを機会に和解して、みんなでいい大潟村を作ろうということになっているんですね。
ところが、秋田県の知事や農政部あたりの、そういう地方の幹部が理解していない。いま、何を言っているかというと、『いやいや、そんな造反してきた、フル作付けやってきた奴は駄目だ』と、特に自民党の県議さんは、『あんな涌井(徹)みたいなやつ許せるか』『あんな者はいままでどおり、生産数量の割り当ては30%だ』なんていうことを、平気で言っているわけです。
じゃあ、30%で、涌井さんにやれと言ったって、いままで守ってこなかったわけだから、そんなものは、10%だって守るわけがない。そんなこととは関係なく、今度はフル作付け派も決められた生産数量目標を守ると言っているわけですから、守るためには、いままで、六十何%とかまではいかないにしても、少なくとも、両方に言っているのですけれども、いままで人の減反率をかさ上げして、たくさん生産目標数量(ポジ)の配分をもらいすぎていたんだから、これはちゃんと減らすので、減りますよと。しかしあなたも、いっぺんにみんなと一緒というわけにはいかないから、いろいろな経緯もあるのだから、まあそこそこのところで我慢しなさいよということを、僕は現地で言ってきたのですけれども、しかしそういうことが守られずに、ペナルティはなしだというのが(戸別所得補償と水田利活用自給力向上事業の)大方針ですから、ペナルティはこれからもやっていくんだみたいなことを、勝手に地方のそういう人たちが言っていると困ります。秋田県全体で大潟村を、まず差をつけて、大潟村の中でまた差をつけて、お前は来ないようにやるんだみたいなことをやっていることがあるものですから、これは、今日(8日)、担当の責任者を現地に行かせて、もしもそんなふうにやるんだったら、秋田県全体をその対象から外しますよと。
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土門剛 ドモンタケシ
1947年大阪市生まれ。早稲田大学大学院法学研究科中退。農業や農協問題について規制緩和と国際化の視点からの論文を多数執筆している。主な著書に、『農協が倒産する日』(東洋経済新報社)、『農協大破産』(東洋経済新報社)、『よい農協―“自由化後”に生き残る戦略』(日本経済新聞社)、『コメと農協―「農業ビッグバン」が始まった』(日本経済新聞社)、『コメ開放決断の日―徹底検証 食管・農協・新政策』(日本経済新聞社)、『穀物メジャー』(共著/家の光協会)、『東京をどうする、日本をどうする』(通産省八幡和男氏と共著/講談社)、『新食糧法で日本のお米はこう変わる』(東洋経済新報社)などがある。大阪府米穀小売商業組合、「明日の米穀店を考える研究会」各委員を歴任。会員制のFAX情報誌も発行している。
土門辛聞
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