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エコファーム・アサノ 脳業発想力

自分の売り先と付加価値を共有しろ


 うちの畑では変わった野菜を栽培しているけど、最近は同じ品種を作る人も増えてきたな。それだけ野菜の多様性を面白がって商品化する人が増えてきたのはいいけど、誤解しちゃいけねえのは、別に変わった品種さえ作れば売れるわけじゃねえってこと。普通の野菜が売れない奴には変わった野菜も売れねえよ。できた野菜を売り先にどう提案するかが重要なんだよ。

 珍しいから目を付けるなんて、それは誰にだってできるの。誰かがやってうまくいった作物があれば、産地ぐるみでマネして追いかけるケースもあるけど、それは1+1は2になると信じ込んでいる人間の発想だね。目に見えるひとつの形とか言葉とか、そういうもので物事を整理しちゃうと、答えが同じになっちゃうのよ。1+1は2じゃねえよ。3になるのか5になるのか、それがわからねえから面白えんじゃん。たとえばフグがうまいったって、フグはフグじゃんよ。あんなもの。所詮フグ以上にはうまくはならねえ。でもそのフグをフグ以上にうまくするにはどうすんだってことを考えんのよ。

 それでうちの場合は、農場の一画に収穫したばかりの野菜を調理できるテイスティング・キッチンを構えている。何年か前に突貫工事でこしらえた土間の小屋だけど、農場に遊びにきたシェフには、ここで俺が作った料理を試食してもらうわけ。シェフってのは言葉で説明しても大して理解しねえから、ここで調理しながら現実を見せちまうのが一番いいのよ。

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