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過剰の対策、欠乏の克服

測定値から割り出す施用量


測定値を土壌改良に生かしにくい土の生物性と物理性

 土の中には、無数の生物が生息しています。その中でも比較的大きなミミズやムカデ、線虫、昆虫の幼虫のほか、小さいものでは、原生動物や藻類、カビ類など様々です。これらの土壌微生物によってできるいろいろな性質がありますが、ここには、ほとんど科学のメスが入っていません。現場でも勘と経験に基づいた話ばかりです。

 それに比べると土の物理性は、ある程度科学的な研究が進んでいます。ただ、現場でのデータ化については、いまひとつ理解しにくい分野といえます。作物の生育や収量に直結する重要な指標である、土壌の硬度も有効性に難があります。

 通常、土壌硬度計で測定して高い数値が出るときは、土が硬いため根が伸長しにくいだろうというような判断をします。しかし、実際はそのような固い土でも根が伸びることはありますし、逆に、硬度計で測定した数値が小さいにもかかわらず根張りが悪いこともあります。土壌硬度より測定が難しい排水性の良否などは、なおさらデータ化が難しくなります。

 土壌の状態を現場で判断するとしたら、できるのは畑のpF値を測って土壌の三相分布を求め、土壌水分における気相率から作物根の呼吸が良好に営まれるかどうかを判断するようなやり方になります。土のpF1・8における粗孔隙率が15%以上なら問題ない、というような具合で判断していきます。

 また、畑を耕運して土をサラサラにしたり、粘りによって大きな土塊になった土を小さくほぐしたりする場合に、その仕上がり具合がどの程度なのかを数値で確認したいところですが、その参考にできるデータが得られるのは土壌三相分布と土壌硬度くらいしかありません。

 土の手触り感から砂質や粘土、その中間の壌土といった土性を判定する方法は、現場で土の保肥力や透水性を推測するのには便利ですが、データ化、数値化には不向きです。

土の物理性の測定値と実際の改良を結びつけるには、このようにたくさんの問題があります。

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