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本誌副編集長の浅川芳裕執筆による『日本は世界5位の農業大国~大嘘だらけの食料自給率~』(講談社+α新書)が2月20日に発刊され、好調な売れ行きを示している。発行元の講談社によれば10万部は売れるだろうと威勢の良い話をしている。そんな浅川本の出版を記念するとともに、農業改革を目指す農業経営者や識者たちが集まろうということで、4月16日に東京都千代田区のKKRホテルで会合が開かれた。100人を目標にお呼び掛けをしたところ、当日の飛び入りも含めて160名を越す参加者が集まった。北は北海道、南は九州まで、日本全国の農業経営者、研究者、各種業界の皆様にご参集いただいた。本誌を創刊以来ご存知の皆様には「本当に隔世の感があるね」と喜んでいただいた。
同書は浅川の本誌での連載をもとに加筆したものである。FAOやCIAあるいは世界各国の先進国の政府発表の資料をもとにして、農水省および農業関係者の宣伝によってわが国で主流の議論になってしまっている“食料自給率論”が、日本農業の将来にとっていかに害を及ぼすかを論説している。その中身については本誌でも、また当欄でも繰り返し書いていることだ。ただし、今回の浅川本においては、様々な情報を追加しているので、是非お手に取ってお読みいただきたい。
農業問題の本質とは、農業関係者問題である。そして、彼らの居場所作りのために、日本農業を敗北主義的に語る“農業問題”が創作され続けてきた。その最たるものが食料自給率論なのである。カロリーベース自給率が40%に過ぎないわが国の現状は、何かことがあれば国民が飢えることになる。だから様々な農業保護が必要であり、減反政策もその一環にあるという議論だ。しかも、この食料自給率論はすべての政党がマニフェストに掲げており、3月20日に改定された「食料・農業・農村基本計画」においても農政の基本課題として記されているのである。
基本計画改定にあわせた農水大臣の談話として「国家の安全保障の要である食料自給率については50%への引き上げ」という課題を掲げ、「戸別所得補償制度を始めとした食料自給率向上に資する施策を重点的に進めることにより、兼業や小規模を含む農業者の意欲を喚起しつつ、国民の理解と行動を得て、その実現を図ります」と発表している。
本誌そして浅川本はそれを真っ向から批判しているわけだが、浅川は謝辞の中で、基本計画からカロリーベース食料自給率の言葉が消えるまで頑張りますと宣言していた。
ところで、各地の読者から「政権が変わって今まで以上に何だか訳のわからないお金が天から降ってくる」との報告がある。
しかし、本誌が主張している農政批判とは、本誌読者諸氏にとっても、むしろ困難な道を歩むことを呼びかけているのである。もし、その選択をしなければ、日本の農業は“安楽死”の道を歩むことになる。現在の我われは保護漬けの麻薬中毒なのであり、それを脱する禁断症状に苦しんでいる。でも、我われの未来は決して暗いものではない。大きな海外マーケットの存在や、過剰の社会であればこその、カロリー供給産業としてだけではない大きな可能性が、農業・農村にはある。浅川の「日本は世界5位の農業大国なのだ」というタイトルは農業経営者たちへのエールとお考えいただきたい。
同書は浅川の本誌での連載をもとに加筆したものである。FAOやCIAあるいは世界各国の先進国の政府発表の資料をもとにして、農水省および農業関係者の宣伝によってわが国で主流の議論になってしまっている“食料自給率論”が、日本農業の将来にとっていかに害を及ぼすかを論説している。その中身については本誌でも、また当欄でも繰り返し書いていることだ。ただし、今回の浅川本においては、様々な情報を追加しているので、是非お手に取ってお読みいただきたい。
農業問題の本質とは、農業関係者問題である。そして、彼らの居場所作りのために、日本農業を敗北主義的に語る“農業問題”が創作され続けてきた。その最たるものが食料自給率論なのである。カロリーベース自給率が40%に過ぎないわが国の現状は、何かことがあれば国民が飢えることになる。だから様々な農業保護が必要であり、減反政策もその一環にあるという議論だ。しかも、この食料自給率論はすべての政党がマニフェストに掲げており、3月20日に改定された「食料・農業・農村基本計画」においても農政の基本課題として記されているのである。
基本計画改定にあわせた農水大臣の談話として「国家の安全保障の要である食料自給率については50%への引き上げ」という課題を掲げ、「戸別所得補償制度を始めとした食料自給率向上に資する施策を重点的に進めることにより、兼業や小規模を含む農業者の意欲を喚起しつつ、国民の理解と行動を得て、その実現を図ります」と発表している。
本誌そして浅川本はそれを真っ向から批判しているわけだが、浅川は謝辞の中で、基本計画からカロリーベース食料自給率の言葉が消えるまで頑張りますと宣言していた。
ところで、各地の読者から「政権が変わって今まで以上に何だか訳のわからないお金が天から降ってくる」との報告がある。
しかし、本誌が主張している農政批判とは、本誌読者諸氏にとっても、むしろ困難な道を歩むことを呼びかけているのである。もし、その選択をしなければ、日本の農業は“安楽死”の道を歩むことになる。現在の我われは保護漬けの麻薬中毒なのであり、それを脱する禁断症状に苦しんでいる。でも、我われの未来は決して暗いものではない。大きな海外マーケットの存在や、過剰の社会であればこその、カロリー供給産業としてだけではない大きな可能性が、農業・農村にはある。浅川の「日本は世界5位の農業大国なのだ」というタイトルは農業経営者たちへのエールとお考えいただきたい。
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昆吉則 コンキチノリ
『農業経営者』編集長
農業技術通信社 代表取締役社長
1949年神奈川県生まれ。1984年農業全般をテーマとする編集プロダクション「農業技術通信社」を創業。1993年『農業経営者』創刊。「農業は食べる人のためにある」という理念のもと、農産物のエンドユーザー=消費者のためになる農業技術・商品・経営の情報を発信している。2006年より内閣府規制改革会議農業専門委員。
江刺の稲
「江刺の稲」とは、用排水路に手刺しされ、そのまま育った稲。全く管理されていないこの稲が、手をかけて育てた畦の内側の稲より立派な成長を見せている。「江刺の稲」の存在は、我々に何を教えるのか。土と自然の不思議から農業と経営の可能性を考えたい。
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