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土門「辛」聞

臥薪嘗胆を潰す農政では、日本農業に明日はない


対岸の火事ではないアイスランド噴火

 春というのに寒い日が続いています。日照不足が長く続いて野菜の成長が悪く、野菜価格が高騰しています。そこへ今度はアイスランドでドッカーンと火山の噴火。アイスランドって、日本からずっと離れたところにあるというのに、これが対岸の火事になるという説をたまに新聞や雑誌で拝見します。江戸時代の3大飢饉の一つ、天明の大飢饉は、我われが学校の教科書で習った浅間山の噴火だけが原因ではなく、その年に起きたアイスランドの火山の大噴火による降灰も被害を大きくしたという説のようです。これを一概に根拠なしと決めつけることは早計です。この程度の自然災害なら、影響は確実に地球規模で及んでいきます。今のアイスランドの大噴火についても「対岸の火事」と油断してはならないのです。それはともかくとして天明の大飢饉は、東北で甚大な被害を出しました。その時の悲惨な出来事を後世に伝えようと、秋田県庁はホームページに「農業農村の歴史に学ぶ」というページを設けています。「天明・天保の大飢饉」の項目には、こんな一文がありました。

 「この年の天候は特に異常であった。田植え後に冷気が続き、いつもなら草取り作業は暑さのためつらい作業となるのだが、何と寒さのため綿入れを着て作業を行い、作業の合間には、ワラを燃やして暖をとらないと手がかじかんで作業ができなかったという。南部でも冷気が強く、稲の開花期には暴風が続き、例年より積雪期も早く訪れるなど、異常気象であった。当時の農民は、その約半数が5月以降になると自家飯米もなくなり、この秋の収穫も良くて半作、被害の大きいものは皆無であった」

 この春も、首都圏では4月17日に降雪があり、気象庁の記録では1969年に2度目ということでした。これから田植え本番というのに、気象庁が4月20日に出した4月下旬の気象予報では、30%以上のかなりの確率で平年に比べてかなり低温になるという警告でした。まだまだ先のことは分かりませんが、梅雨の時期、夏場、秋の収穫期にどう気象が変化していくか、プロの生産者なら細心の注意を払わねばなりません。

 そんな中、農水省は「低温・凍霜害及び雪害等の農作物の被害防止・生育回復に向けた技術指導通知」を出してきました。作物ごとに被害を最小限に抑え、生育の回復などを図るための適切な対応について、栽培アドバイスを通知の形で出しております。例えば、水稲では「育苗中の苗については、気温の変化に留意し、育苗ハウスの加温や育苗箱の被覆等苗の生育にあわせた温度管理を徹底し、健苗育成に努めること。移植作業については、活着適温に配慮し、気温及び水温が十分上昇してから作業を行うこと」と、基本中の基本が書かれてあるだけです。

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