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長雨、冷害に負けないリスク管理術 経営者は自然災害にどう対応すべきか

長雨や低温、あるいは温暖化による高温障害や台風害――農業経営とは常に自然災害のリスクと隣り合わせである。とりわけアジアモンスーン地域の一部である日本においては、降雨による影響は避けがたい宿命を背負っている。しかし予想される問題にあらかじめ対応し、リスクを最小限に抑えることも農業経営者に求められる資質である。今回の特集では、全国の農業経営者がどのような気象災害に悩んでいるのか、その実態を探るとともに、様々な対策事例を紹介する。自然がもたらす被害を不可抗力とあきらめるのではなく、リスク管理の意識を高めることで、災害に負けない農業経営を目指していただきたい。

■自然災害の実態解明「今、何が起きている?」

 今年4月20日に宮崎県で口蹄疫感染の疑いのある牛が見つかり、その後驚くほどの速さで被害が拡大した経緯については、読者諸兄の誰もが知るところであろう。最初の感染発覚から2カ月のうちに殺処分の対象となった牛豚の頭数は約20万頭。ワクチン接種を終了した分を含めると27万6000頭にも及ぶ。当該地区の畜産経営者の方々には心よりお見舞い申し上げたい。

 今回の口蹄疫の問題に限らず、農業経営とは常に「自然」という名のリスクと隣り合わせである。管理された条件下でモノを生産する工業製品とは異なり、異常気象や病害の発生というトラブルが絶えることはない。2009年の北海道において、長雨により小麦をはじめとする多くの農作物が不作になったことは記憶に新しい。10年も全国的に春先の天候が安定せず、桜の開花後に降雪するなどして野菜の価格が高騰した。

 そこで今回、本誌読者が普段どのような自然災害のリスクに晒され、それにどのような対策を講じているのかについて、ファックスによる緊急アンケートを実施した。23ページのグラフ類は、65人の読者から得られた回答を集計したものである。これを見ると、「長雨・日照不足」「低温障害」が主な懸念事項になっていることがわかる。

 個別の事例を詳しく尋ねてみると「10月に雨と雨の間が3日もなく、キャベツの定植時期にトラクタが圃場に入れず作付け作業が遅れた」(神奈川県・S氏)「7月に平年の3倍もの降水量があり、防除作業ができず病気が多発した」(北海道・U氏)など、昨年夏から秋にかけての多雨が各地に被害をもたらしたことがうかがえる。降雨による影響は圃場での栽培期間にとどまらず、「干しイモの天日乾燥ができない」(茨城県・T氏)など、収穫後の調製作業にも被害をもたらしている。このほか「ゲリラ豪雨で発芽したてのニンジンが流された」(埼玉県・U氏)という、近年ならではの異常気象を嘆く声もあった。

 また、春先の低温についても「カキの新芽が枯死」(山形県・M農場)「4月に入ってからジャガイモが2度も霜にあたり、2割ほど減収した」(鹿児島県・N氏)など、初期生育にダメージを与えていることが浮き彫りになった。

 その一方で温暖化の影響もじわじわと表れている。「高温干害でコメの胴割れが発生」(茨城県・H氏)「登熟不良でコメの品質が低下した」(新潟県・S氏)など、夏場の猛暑による被害も増えつつあるようだ。


■天災の発生は防げないが被害の低減は経営者の責務

 ただ、こうした悪条件の中でも、平年作を実現する農業経営者がいるのも事実である。異常気象の発生そのものは防げないが、それを前提とした自衛策にいかに日頃から取り組んでいるか。その積み重ねの差が“不作年”ほど表れやすいのではないだろうか。「自然9割、人智1割」といわれる農業であればこそ、ままならないお天道様のリスクをいかに低減するかが、安定経営のための基盤となるのである。

 それでは一体、具体的な対策としてこれらの自然災害にどう備えれば良いのだろうか。被害を最小限に食いとめている読者にその取り組みを聞いてみると、圃場管理の徹底や戦略的なリスク分散など、準備を怠っていないことがわかる。品目や地域、規模などの経営条件によって取り得る対策は人それぞれだが、天災を放置して被害を拡大させるのは人災という意識は共通であった。それでは本誌読者のリスク管理の具体例を次頁より紹介していこう。

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