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土門「辛」聞

米穀データバンクの作況指数「102」を信用する?

お盆明けに今年産の主産地の仮渡金が出始めた。全農新潟県本部が18日に提示した一般コシヒカリは、60kg当たり1万2300円、21年産より1400円のマイナス。ちょうど10%の減額だった。魚沼産コシヒカリについては、1万6500円で前年比2200円(12%)の引き下げとなった。これより先に示された愛知産コシヒカリは1万1000円、三重産コシヒカリは9500円と前年産よりマイナスになっている。新潟の後に発表される関東や東北の産地も多分、前年産よりもマイナスになることは確実だろう。

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 お盆明けに今年産の主産地の仮渡金が出始めた。全農新潟県本部が18日に提示した一般コシヒカリは、60kg当たり1万2300円、21年産より1400円のマイナス。ちょうど10%の減額だった。魚沼産コシヒカリについては、1万6500円で前年比2200円(12%)の引き下げとなった。これより先に示された愛知産コシヒカリは1万1000円、三重産コシヒカリは9500円と前年産よりマイナスになっている。新潟の後に発表される関東や東北の産地も多分、前年産よりもマイナスになることは確実だろう。

 新潟産コシヒカリの仮渡金を報じた日経紙は、「全農新潟県本部は卸会社への販売価格がコメ余りで下落していくと想定し、農家への支払いを引き下げざるを得ないと判断した」と解説していた。コメ余りで、確かにそうだが、米卸でも余している会社と、そうでない会社があって、米価の先行き見通しも、前者は弱気、後者は強気と二分できるようだ。結局は日頃の販売能力によって分かれたとみるべきである。

 それはさておいて、仮渡金を下げてきた理由はまだある。政府が緊急買い上げをしない方針を繰り返し説明していることだ。当然のことだが、米価が下がっても、農家には戸別所得補償によって減収分を補填することになっているので、緊急買い上げする合理的根拠がないのだ。

 米卸がコメを余したというのは、自らの経営判断に誤りがあったということだけで、それを政府に緊急買い上げしてくれと要請するのは、お門違いも甚だしいことではないだろうか。これを負け組の遠吠えといったら失礼になるが、少なくとも販売力のある米卸は、そんなはしたないことは口にしない。

 その負け組の口車に乗せられてしまったのか、全国稲作経営者会議の会長さんも、同じようなことを政府に要請しておられるが、これを耳にした農水官僚は、「何のために、戸別所得補償をやったのか、経営者と名乗るなら、よく考えて欲しいね」と注文をつけていた。当たり前のことである。


積算温度だけで実態反映せぬ予想プログラム

 ところで、作況から相場の先読みをしてみたいと思う。手がかりは、米穀データバンクが5日に公表した作況指数「102」(全国)だが、作況をピタッと当てることはなかなか至難の業のようだ。過去の例からも上に振れたり下に振れたりするが、最近は上に振れることが多い。

 この作況指数を目にするたびにいつも疑問に思うことが一つあった。実態を正しく反映したものかどうかについてである。どうやって調査しているか、問い合わせてみると、過去の気象データから数字を出していると聞いてビックリした。話しぶりでは、過去のデータから作況指数をはじき出すプログラムを作成して、田植えからの気象データだけをインプットして計算しているようだ。そのプログラムの計算式についての詳細が分からないので何とも言えないが、おそらく積算温度だけを判断材料にしたものではないだろうか。

どうみても、これでは予測精度はあまり期待できない。例えば、今年の例でも、田植期前後には天候が不順だったが、6月に入ってから急激に回復してきた。梅雨明け前から気温は急上昇、7月末から8月上旬にかけて猛暑だった。積算温度だけの判断では、豊作という予想が立ってしまうのだろう。

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