ナビゲーションを飛ばす



記事閲覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック

海外レポート

豪州ビクトリア州農業視察レポート(5) ビクトリア州の野菜&果物 後編 効率性と品質向上の両立に挑戦する

オーストラリア第二の都市メルボルンを有するビクトリア州。この地では、どのような野菜・果物が栽培され、流通し、消費されているのだろうか。弊誌が去る3月に企画した「Made by JApanese視察ツアーin ビクトリア州」に参加した、らでぃっしゅぼーや(株)事業本部 MD部 農産課長の森﨑秀峰氏の寄稿の後編をお届けする。日本にアスパラガスを輸出しているモマック社、大規模トマト生産業者フレーバライト・トマト社、イチゴの消費拡大に尽力するサニーリッジ・ストロベリー農場の3農場より生産現場をレポートする。

モマック(クーウィーラップ地区)

 ここでは、アスパラガスを主体に栽培からパッキング、輸出までを手がけており、生産量の約半分を日本へ輸出している。栽培面積は480ha、収穫量は4000tだが、調整後の出荷量は2500tになる。収穫期は8月下旬から12月下旬で、伺った時期はもうすでに収穫期を過ぎており、アスパラガス自体は養生期で、畑はアスパラガスの葉が生い茂っている状態であった。

 パッキング工場の場内に入ると、若干薄暗い。それは、稼動していないという理由だけでなく、目を凝らして見ると、外部の温度を遮断するために、屋根、壁の全ての面に、アルミ箔を利用した断熱材が貼られている。徹底的な断熱を行なわない理由を尋ねたところ、「通年使う施設ではないため、これで十分だ」という。なるほど、これで品質が担保されていれば、必要十分で、過剰な投資をせず、効率的である。

 人手で収穫されて工場に運び込まれたアスパラガスは、選別調整ラインに流される。さらに切断面をカットし、太さと、長さで選別したものが、束ねられていく。

日本へ輸出されるアスパラガスは、1kgあたり約145円(1.7豪ドル)という安価な航空便を利用して、日本へ運ばれる。木箱梱包で輸送され、プライベートブランド商品にも積極的に応じているようだ。

フレーバライト・トマト社(ワラガル地区)

 1994年創業の、水耕栽培トマト専業の大規模トマト生産業者だ。9月号で載せた、メルボルンマーケットの中にも、店舗を構えている。トマトの栽培面積は11ha、そのうち見学させていただいたオランダ式の最新のハウスは4haを占める。

 農場は、道の両側には放牧地が永遠と広がる国道をひた走り、道脇に入った場所にある。訪れた他の地域と同様にこの辺りも水が少ないが、その分、余計な病害虫も発生しなさそうだ。水管理については無駄を省きながら、リサイクルウォーターにも真剣に取り組んでいる。農場の入口付近には、潅水用の巨大なタンクが二つ設置され、さすが、水がない地域だけあって、有効利用を考えていることがうかがえる。

関連記事

powered by weblio