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新・農業経営者ルポ

市場競争が咲かせた減反圃場のユリの花



規模拡大には頼らない次の一手

 山に囲まれ、荒川流域の低地にしか農地が存在しない関川村では、規模拡大といっても限界が見えている。軌道にのせたユリの栽培技術にさらに磨きをかけながら、次の一手をどうするか、本間にとっては思案のしどころだ。

 寒冷地でのユリ栽培の作型は、季咲栽培、抑制栽培、促成栽培に分かれているが、これまで促成栽培には手を出してこなかった。抑制栽培の作型の方が、競合産地の出荷時期をずらしやすかったからである。

 しかし09年からは、燃料コストをダウンさせる暖房器を導入し、促成栽培にも挑戦し始めている。すでに本間の生産するユリは、市場の評価で上位3%に入る高品質を誇っている。これからもその品質を維持しつつ、あらゆる作型に対応することができれば、さらなる飛躍を果たすはずだ。東京に出ていた長男・健太郎も2年前から就農した。彼の成長を見守りながら、今夜もちゃぶ台で夫婦の戦略会議が繰り広げられていることだろう。   (本文中敬称略)

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