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農業経営者のための農水・JAウオッチング

攻めの姿勢見せるJAグループ=新食糧法対応で卸会社化

時の政治状況を意識した行政、農業団体の公式見解と彼らの本音。建て前の言葉に振り回されない農業経営者のための農政展望として、一般紙経済部記者にメディアにのらない霞ヶ関(農水省)・大手町(JA)の陰の声を報告してもらう。
食糧需給価格安定法(新食糧法)の制定に伴い、全国農業協同組合中央会(全中)など農協グループは、これまでの事業見直しに着手、今後の検討方針として計画外流通米の取り扱いや経済連卸の会社化などを含む十の課題を掲げ、新体制作りに動き出した。

 減反の選択性を新たに導入した新食糧法は、減反への協力を前提にした出荷取り扱い業者や卸・小売り業者を登録制に移行した。現行食糧管理法に比べ、競争原理が導入されており、農協グループも、「商系業者との全面的な厳しい競争にさらされる」(全中関係者)との見方を示している。

 策定したのは

(1)生産調整の確実な実施による全体需給調整
(2)需要に対応した生産対策と営農指導対策
(3)集荷力の強化と物流の合理化
(4)計画流通米の確保と販売調整システムの構築
(5)価格形成と価格の安定
(6)備蓄・調整保管の実施
(7)系統食販事業の強化
(8)段階別機能分担と販売事業の見直し
(9)新たな加工用米の供給
(10)輸入米への対応

の十課題。

 前述したように、新食糧法下では、農協と既存の商系業者、新規参入業者との生き残りを懸けた競争が展開されることは必至。それだけに、農協グループにとっては、この検討課題が今後の戦略方針策定の重要な基礎となるわけで、「ビジネスチャンスの拡大」か「組織の弱体化」の厳しい分岐点が、この検討課題に懸かっているといっても過言ではない。全中はこれを基に組織討議を進め、肉付けをした上、四月には基本方針としてまとめる意向だ。

 全中は、この検討課題をまとめるための「基本的視点」として、「新食糧法は民間流通への制度変更で、JAグループにとっては大きな拠り所を失った感もあるが、見方を変えればJA食管を作り上げることができるかもしれない」との認識を披れきしており、これまでの守りから攻めの姿勢への転換を大前提としている。

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