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編集長インタビュー

顧客が求める品質と価格の実現には生産サイドとの連携が不可欠

炊飯・加工品の販売まで手がける米穀卸売の大手、(株)ミツハシ。徹底した食品衛生管理とコストダウンを追求し、半世紀以上にわたって時代に求められる商品を提供し続けているが、様々な課題の克服には、生産サイドとの連携が不可欠であるという。米価の激しい下落、TPPへの参加協議など、稲作経営の将来が予断を許さない状況が続く中、生産者と米穀卸は、いかなる関係を構築していくべきなのだろうか。

多様な生産があっていいが最終的にはマーケットの評価

昆吉則(本誌編集長)コメを取りまく諸問題はまさに日本農業の象徴でもありますが、グローバル経済が進行していく中で、いよいよ変わらざるを得なくなってきた気がしています。精米から流通、販売までコメのお仕事をなさっている御社としては、現状をどのようにお感じになっているでしょうか。

三橋美幸((株)ミツハシ代表取締役社長)本当に変化が激しい時代になりましたね。コメを作れば国が必ず買ってくれる時代が終わったということであれば、やはりマーケットは大きく変動すると思います。今回のように価格が大きく下落している現状は、まさに変化の序章、というか、既にスタートしているのかもしれません。それにどう対応していくかについては、我われだけでなく、生産者の方も含めて全体として考えていく時代がきたのだと思います。

昆 お取引のある生産者というと、ある程度のロットを集める都合上、全農が窓口なのでしょうか?

三橋 ええ。やはり系統さんから購入するボリュームが多いですね。この産地のこのJAのコメがほしいというお客様からのリクエストもありますし、私どもとしても1年間通じて安定供給する責任がありますから。

昆 なるほど。価格の問題については、下落しているとはいえ、国際的に見ると日本のコメはまだまだ高いのが実情です。その一番の理由は、生産単位の小ささ、あるいはそれに伴う流通構造にあると私は考えています。2009年の都府県における販売金額規模別農家数を見ると、実に6割もの農家の販売金額が100万円未満なんですよ。これまでは赤字分をサラリーマンである息子さんのボーナスなどで補填していたのでしょう。しかし昨今のような円高や、TPPなどの自由貿易協定が進むと、ますます国内産業が空洞化して、一般的に農家と呼ばれる大多数の兼業農家世帯が失業しかねない状況にあります。そうした状況をどうご覧になりますか。

三橋 私はたとえ規模が小さくても、生産にしっかりお取り組みになっていればいいというスタンスです。そういう点では、今回の戸別所得補償制度は、それなりの意味があると感じています。平均のコストと、平均の売価、少なくともその差額を補填する発想ですので、平均より高く売れる方や安く作れる方には、有利な方向に働きますからね。付加価値を認めていただく商品を作って高く売れば、小規模でも採算がとれるケースだってあるでしょう。むしろ以前より競争が促されるのではないでしょうか。その結果として、食料自給率をそれなりに高めていくべきだと考えています。これを言うと『農業経営者』さんには叱られますけど。

昆 そんなことはありませんよ(笑)。

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