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人生・農業リセット再出発

機内にお医者さんはいませんか!?

福岡在住の医師、坂本泰樹さんの電話が鳴る。日本旅行医学会の篠塚専務理事からだった。「末期癌患者さんの米国旅行添乗ですが、先生のご都合はいかがでしょうか?」「8月23日以降なら大丈夫ですが」と、日程がほぼ決まる。成田空港の出発ロビーで、車椅子に座ったままの高澤基さんと初対面の挨拶をする。高澤さんの妹さんと、ボランティアで付き添う女性もいる。いよいよ4人で米国へ向けて“人生最期の旅”への出発である。

 福岡在住の医師、坂本泰樹さんの電話が鳴る。日本旅行医学会の篠塚専務理事からだった。「末期癌患者さんの米国旅行添乗ですが、先生のご都合はいかがでしょうか?」「8月23日以降なら大丈夫ですが」と、日程がほぼ決まる。

 成田空港の出発ロビーで、車椅子に座ったままの高澤基さんと初対面の挨拶をする。高澤さんの妹さんと、ボランティアで付き添う女性もいる。いよいよ4人で米国へ向けて“人生最期の旅”への出発である。空港のテレビでは、奇しくも高澤さんと同じ65歳、芸能リポーターの梨元勝さんが肺癌で亡くなったニュースが流れている。

 高澤さんは都内の信用金庫で60歳の定年まで勤めた後、生涯独身で一人暮らしを楽しんでいた。ところが病院の検診を受け、かなり転移が進んだ末期の食道癌だと判明。余命数カ月の宣告を受ける。2歳年下の妹は、働き盛りだった夫を骨髄癌で亡くしている。そして今度は兄が末期癌! 高澤さんは中学生時代からエルヴィス・プレスリーの大ファンで、社会人になってからもハワイで開催されるコンサートに参加したくて会社に休暇申請したが、上司に無下に却下された悔しい思い出がある。兄の無念を覚えていた妹は、その夢を生きているうちに叶えてあげたい、そうだプレスリーの故郷であるテネシー州メンフィスに連れて行ってあげようと決意する。旅行会社では車椅子の重病人同行はすぐに断られた。何とか方法はないか……探し当てたのが日本旅行医学会であった。

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