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農業経営者のための資金調達

使途の広さに注目!スーパーL・Sのしくみ

昨年新たに導入された制度資金、通称「スーパーL」と「スーパーS」。これらを利用するためには「農業経営改善計画」に基づく“計画認定”を受ける必要があるが、資金用途の幅が相当広く、十分検討してみる価値がある。
 近年の農業関連資金の利用は低調に推移するが、理由は極めて簡単である。農業の将来展望が開けないことによる設備投資意欲の低下が原因だ。一口に農業関連資金というが、これには政府がタッチする農業制度資金と農協等の一般金融機関が商品化した農業資金とがある。このどちらの貸出もはなはだ不振なのが農業金融の現況である。

 そこに昨年から新たな制度資金が導入された。一般に「スーパーL」、「スーパーS」(略称)と呼ばれる新型の農業制度資金で、ちょっとした話題になっているから、すでに何度か耳にされた方も多いだろう。平成四年六月、農水省は「新政策」を発表したが、そこで提示した〈経営感覚に優れた効率的・安定的な経営体の育成〉を最重要課題に据えたことが契機になっている。しかしすでに知られるように、新政策発表後、これに要する施策はスムーズに実行されなかった。むしろできなかったと表現する方が適切だろう。ガット交渉の山場であり、日本農業の根幹となっている稲作の将来像が描けないまま、時を過ごさざるを得なかったからである。

 結果的には、交渉合意後の本格的整備までの場つなぎ役になった「経営体育成特別融資制度」が平成五年度に創設された。これは端的にいえばすでにあった総合施設資金、農業近代化資金、土地利用型経営体強化資金、農林漁業施設資金を、それまでの資金単位の利用から総合的利用に組み直したものである。資金内容は異なるが、スーパーLは、この特別融資制度のしくみを全面的に継承している。

 そこでスーパーL資金とS資金であるが、この資金を利用するためには、当面の計画認定を必要とする。ここでは具体的な手続きや内容の説明は省略するが、概要は次のようになる。

 平成五年八月から農業経営基盤強化促進法に基づき、経営体育成のための「農業経営改善計画」〈認定制度〉がスタート。〈認定〉は農業者が申請するおおむね五年間の農業経営改善計画(酪農、肉牛は経営改善計画、果樹は果樹園経営計画)を、市町村に設置された「特別融資制度推進会議」(メンバー一市町村、農業委員会、農協、県ほか関係六団体/議長‥市町村長、事務局/市町村)が審査、認定するもの。

 この計画認定を受けた農業者を、農林漁業金融公庫を通じ、資金面で支援するのが昨年六月に設けられた「経営体育成総合融資制度」(略称:スーパー総合資金制度)。認定を受けた計画に記載された経営改善のための資金であれば、融資対象は相当に広範囲(制度資金の借り換えなどは該当しない)である。スーパー総合資金制度として設けられたのが、スーパーL資金(既存公庫資金の改定版)とスーパーS資金(新規導入)ということである。

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