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過剰の対策、欠乏の克服

微量要素をどう判断するか

作物への繊細な接し方ができるということで、中南米やオーストラリアの園芸分野では中国人、ベトナム人、日本人などの能力が評価されています。細かな作業をするうえで、欧米人にはないアジア人の感性があるのかもしれません。こうした一般的な評価とは別に、作物に生じる異変のなかで微量要素に関わるものについては、少し話が違います。微量要素の過剰や欠乏は、作物の生育に微かな変化が生じるところから始まって、だんだん誰の目にも異常な姿となって発現していきます。これが実は日本人にとって、あまり接したことのない植物の変化なのです。

日本人になじみがうすい微量要素の過剰と欠乏

 作物への繊細な接し方ができるということで、中南米やオーストラリアの園芸分野では中国人、ベトナム人、日本人などの能力が評価されています。細かな作業をするうえで、欧米人にはないアジア人の感性があるのかもしれません。

 こうした一般的な評価とは別に、作物に生じる異変のなかで微量要素に関わるものについては、少し話が違います。微量要素の過剰や欠乏は、作物の生育に微かな変化が生じるところから始まって、だんだん誰の目にも異常な姿となって発現していきます。これが実は日本人にとって、あまり接したことのない植物の変化なのです。

 その理由を説明する前に、まず微量要素とは何でしょう。作物が吸収する栄養無機成分のうち、最も多量にあるものを多量要素と称します。作物によっても異なりますが、吸収利用する量は10aあたり成分で約5kgと考えます。つまりはチッソ、リン酸、カリという、NPK3要素です。

 次に中量要素と称するものが、カルシウム、マグネシウム、イオウ、ケイ酸などです。これは10aあたり成分で2kg程度を吸収します。そして、今回のテーマである微量要素はこの吸収量が10aあたり成分で100gです。この数値は単に欠乏しやすいというだけでなく、過剰にもなりやすいということを意味しています。

 ここまでは比較的わかり易い概念だと思います。ただし、微量要素は単に土の中にあるとかないとかだけではなく、土のpHによってその挙動が変化するので、その説明から始めます。

 微量要素はホウ素、マンガン、銅、亜鉛、鉄、モリブデン、ニッケルなど、たくさんあります。モリブデン以外は酸性になると溶け始めます。そして中性付近から微アルカリになると、不溶化といって土の中で溶けなくなります。

 乾燥地土壌が多い米国などでは、土が中性から微アルカリにあることが多いので、作物の微量要素の欠乏は頻繁に発生します。それだけに古くから研究されてきた歴史があります。

 これに反して日本は全国どこでも土は酸性で、モリブデン以外は土の中で溶け出してきます。つまり、微量要素の欠乏はあまり起こらなかった。だから注意もされてこなかったのです。

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