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今年の市場相場を読む

産地間で共同宣伝する野菜類 キュウリ、トマト、トウモロコシ、カンショ

これまで日本の青果物産地は、互いに競争しあうことで成長、拡大してきた。ただ、それは主に卸売市場において、どうすれば他産地より有利に販売できるかという価格面での競争であり、規格の厳格化や出荷の計画性、継続性、さらに品質面での有利性をアピールするものであった。しかし現在の長引く不況と消費のパイが縮小する時代に至っては、産地間でのいたずらな過当競争は消耗戦でしかない。産地間協調によって消費全体のパイを維持、拡大すべきだとの認識が浸透しつつある。ターゲットはあくまでも消費者であり、卸売市場での価格競争ではないのである。

キュウリ 本来の旬に消費拡大を。東北6県で「キュウリビズ」訴求

【概況】

東京市場のキュウリは、埼玉、群馬、千葉などの関東産地と、福島などの東北産地がシェア上位を占める。ただ冬場に限っては、宮崎や高知など西南暖地のシェアが高い。西南暖地の残量と関東産のスタートが重なる5月に大きな入荷のヤマがあるが、全体としては夏場の入荷割合が高い。夏こそ入荷量が多く、単価が安くなる旬である。市場での販売金額トップの座は、十数年前にトマトに譲り渡してしまった。

【共同宣伝の取り組み】

こうした状況から捲土重来を図ろうと、07年から夏秋キュウリの最盛期に、東北産地6県が協働して「キュウリビズ」キャンペーンを展開している。そもそもキュウリには体温を下げる効果があるとされるため、「クールビズ」にひっかけたキャッチフレーズを用いている。東京市場で試食宣伝会を催したり、首都圏の電車内でPRポスターを掲載したほか、量販店では木桶にキュウリと氷を入れて冷涼感を演出。各県特産の味噌と共に、子供たちには丸かじり提案を行なった。猛暑の夏であればこそ「東京の暑い夏に、みちのくの涼しさを届けたい」という趣旨は悪くない。積極的な情報発信によって、専門紙やフリーペーパーで活動が紹介されるなど、確実に認知度は高まっている。「キュウリビズ」は商標登録しているが、地域内のキュウリ産地には原則的に使用を認めており、関東産地で許諾された事例もある。品目を問わず、旬にたくさん消費してもらう、という発想と仕掛けこそが購買拡大につながっていくことは言うまでもない。

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