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イベントレポート

誌上採録 『月刊農業経営者』シンポジウム 農業は日本のお荷物などではない 私たちはTPPを恐れない!(後編)

先月号に引き続き、1月29日(土)に『農業経営者』読者の会が主催した、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)に関するシンポジウムの模様をダイジェストで掲載する。(まとめ/平山純、編集部)

パネラー
・ 阿部善文氏((有)板倉農産 代表取締役 宮城県登米市・稲作経営)
・ 橋本英介氏((有)沼南ファーム 千葉県柏市・稲作経営)
・ 片岡仁彦氏((株)アートソイル・福井県福井市・稲作/ソバ/ジャガイモ経営)
・ 宮治勇輔氏((株)みやじ豚 代表取締役社長 神奈川県藤沢市・養豚経営/農家のこせがれネット ワーク 代表理事CEO)
・ 浅川芳裕((株)農業技術通信社専務/『月刊農業経営者』副編集長)
・ 昆 吉則((株)農業技術通信社社長/『月刊農業経営者』編集長)

環境に適応し続けるのが経営者なのではないか

阿部善文((有)板倉農産社長・宮城県登米市) 実はこの年、1993年は農薬も化学肥料も使わずにコメ作りをやって大失敗の年でした。反収が2俵。しかも収穫したコメはいもち病にやられて販売するにはほど遠い品質でした。非効率ですが、家族総動員で手選別によって障害のあるコメを取り除きました。選別してお客様に送れる量が1日に20kg。そんなことがあり、次の年に選別機を導入し、本気で産直をするようになりました。
自分の経営にとってまさにこの年はひとつの転機で、自分のコメを買ってくれるお客様が一番の大切な取引先と再認識したんです。それまでは農協さんとの取引もありましたが、お客様と取引させていただいて、求めているものが違うと気付いたんです。それは農家に求めているもので、コメ本来の評価とは違ったもの。非常に難しい要望もありましたが、それに応えていくことで、お客様との信頼関係が結ばれ、今の経営が維持されていっています。


片岡仁彦((株)アートソイル社長・福井県福井市) 私は今から15年前に農業を始めたのですが、きっかけはGATTウルグアイ・ラウンド交渉でコメの自由化が始まると見ていました。そうなると、農家がみんな農業を辞めるんじゃないか? という思いで入りました。
自由貿易は当然だと思いながらやっていますから、TPPの報道が出ても、どうなのかな? って思うくらいの気持ちでした。もうちょっとなんというか、農家の生産コストとかどうだからダメだとか、一般的に語られていたりしますが、それが私にとっては、そもそも当たり前にやっていなきゃいけないんじゃないのかという思いがあるんですよ。


宮治勇輔((株)みやじ豚社長・神奈川県藤沢市) 先ほどTPPはどっちでもいいとお話をしました。というのも、経営者というのは、環境適応業だと思うんですね。どんな環境にあっても、それにあった打ち手を出すのが経営者の仕事なんですよね。なので、TPPに参加したらしたなりの打つ手を考えますし、参加しないならばしないなりの打つ手を考えていくので、僕はどっちでもいいんじゃないだろうかという答えをしたんですね。
若い仲間がたくさんいますが、TPPに反対している農家に会ったことがないんですよね。反対している農家と、反対していない農家の大きな違いは売り先を持っているか持っていないかの違いかなと。自分で経営努力をして、販路を開拓している農家は、別にTPPいいんじゃないのっていう感じですし、売り先を持っていなくて、地域の組合に加入して市場に持っていっているような農家は「TPP大変だよぉ」というような話になるんじゃないかなと感じております。

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