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今年の市場相場を読む

鍋物の脇役野菜、今年のお勧めは? ミズナ、ジュンギク、ニラ、小ネギ

今年は、秋の彼岸を過ぎると寒さがきた。10月上旬には降雪があって一気に冬到来の地方もある。途端に鍋物などの温かい料理がほしくなるのが消費者心理というものだろう。長野、東北、北海道などが台風に伴う降雨の影響で作柄を悪化させ、供給や相場が大狂いした9月を経て、翌10月には関東物の出回りでようやく供給が安定した。いよいよ本格的な鍋シーズンである。鍋にはハクサイやキノコ類が必需品だが、重要なのは脇役野菜としての“青みの野菜”で、栄養バランスと彩りを添えてくれる。小売店にとってもその「もう一品」を勧められるかが、差別化と利益をもたらすカギになる。

ミズナ 茨城産が災いし、入荷減の単価安。安心アピールで消費復活の正念場

【概況】

東京市場のミズナは、過去10年で最も伸びた品目の一つで、2006年にはコマツナに迫るほどの入荷数量となった。その後成長は止まったが、すっかり定番野菜に昇格。8~9月にやや入荷が減るものの、3~5月にピークを形成し、年間を通じてコンスタントに流通している。主産地は常に85%以上のシェアを持つ茨城で、埼玉、群馬などが補完産地として続き、東京市場には実に33県から入荷がある。

【背景】

今年は、主産地である茨城が震災と放射能問題の影響を受けたため、3月には平年より4割近くの入荷減で単価も低迷した。6月ごろからようやく引きが強くなり、この秋には単価が回復したが、入荷数量はまだ平年を下回る。ハクサイもまったく同じ状況に置かれており、ミズナもこれから需要期に入っていくため、茨城産は出荷量を増やしてくるだろう。ただ、業務用は問題ないにしても、一般家庭がどこまで手を伸ばしてくれるか予断を許さない。

【今後の対応】

ミズナは、典型的な鍋物野菜であるシュンギクのシェアを奪う形で伸びてきた。それに加え、クセのなさからサラダなど洋風の利用法でも普及。こうした用途の広さが成長要因になっている。しかし、今年は放射性物質に対する風評の影響で、茨城産野菜そのものが潜在的に敬遠されぎみであることは否定できない。鍋物野菜に定着している部分と敬遠機運の綱引きとなるだろうが、この秋は「安心」のアピールで消費者を納得させる正念場だ。

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