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編集長インタビュー

独自の農機具開発で利益を生む 単なる機械オタクではありません

農業機械・農機具について語り始めたら止まらない……。全国に多くいらっしゃるそういった農業経営者たちにとって、アイディアを集め、改良・開発を重ねていくことは楽しみであり、さらにその技術について語り合うことができる仲間は特別な存在だ。100を超える農機具を独自に開発している柴田農園の柴田隆夫氏に、開発型農業で利益を生む農業経営の苦労と挑戦について聞いた。

コストをかけないで独自の「最適」なものを作る

昆吉則(本誌編集長) 昨日は東三河地区の農業経営者の集まりに呼んで下さりありがとうございました。そして、今日は会員の皆さんと一緒に柴田さんの農場見学。皆さん、柴田さんの経営思想とともにその機械オタクぶりにビックリしながら感激していました。柴田さんのことは以前に新・農業経営者ルポ(2009年12月号)でもご紹介させていただきました。読者の皆さまにはあわせて読んでいただきたいです。前回、紹介しきれなかったことを含めて肉声で語っていただこうと思いお邪魔しました。

柴田隆夫 いやー、こちらこそありがとうございます。

昆 まず、現在の経営概要を話していただけませんか。

柴田 キャベツが8・5haと夏の赤ジソが5haでということになっています。

昆 ところで柴田さんは誰が見ても驚くべき“機械オタク”ですよね。

柴田 ガハハ。

昆 でも、トラクタはもとよりほとんどの機械が相当な年代物の中古品で金を掛けずに修理するだけでなく使いやすく改造している。

柴田 まだ経営としては発展途上ですが、だからコストをかけずにやってこられたというのはありますね。

昆 その合理精神は肥料や資材の買い方、使い方にも出ています。

柴田 どこの業者か言わない約束になっているんですけど、肥料・農薬や資材の購入は我が家では入札なんですよ。三社くらいに植えつけの時に使うネビジン(根こぶ病殺菌剤)とかプレバソン(殺虫剤)とかの薬剤、合わせてたぶん100万円弱くらいの資材を一気に見積もりを出してもらう。それを何年かやっていると段々安くなってくる。それに、新しい業者を参入させるときがチャンスなんです。向こうは元々の取引がゼロ。そこでまとまった量のオーダーを出すと捨て身の値段を出してくるんですね。普通の農家では「えっ!?」といわれるような値段になっていると思いますよ。

昆 もう少し具体的に……。

柴田 肥料は基本的には単肥です。土壌分析を毎年やってこの10年間くらい、リン酸、カリはゼロでした。リン酸とカリは基本的には堆肥でまかなわれていて、しかも過剰だったんですよ、特にリン酸がね。だから本当に安かったですね。キャベツ10aあたりで肥料代は9000円台。農協の栽培暦通りにやると大体3万4000~5000円になる。最近ではリン酸とカリの過剰もだいぶバランスが取れてきました。今ではリン酸もカリも単肥で入れるようになったので、追肥まで込みで1万4965円です。つまり「イチゴ大福」作戦です。1万5000円以下に抑えて「大」きな「福」を呼ぶ作戦と呼んでいます。

昆 他の商売ならそれが当たり前のことですが、多くの農家で円の単位まで肥料代や原価を計算できている人はまずいない。それが農業じゃ食えないという理由なのにね。ほとんどの農家はやるべきことをやっていない。そして、それが単肥配合のためのミキシング・ライムソワーの改造につながるのですね。

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