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岡本信一の科学する農業

土壌硬度分布が収量に決定的な影響を与える

今回は前回に引き続いて土壌硬度分布の話をしましょう。左上の図に3つの土壌硬度分布のグラフを示します。グラフは縦軸に深さを、横軸に硬さを表しています。

 今回は前回に引き続いて土壌硬度分布の話をしましょう。左上の図に3つの土壌硬度分布のグラフを示します。グラフは縦軸に深さを、横軸に硬さを表しています。


 【A】深くなるに従って徐々に硬度を増してゆく土壌。

 【B】ある程度の深さまでは、かなり柔らかく、ある深さで急に硬くなる土壌。

 【C】比較的浅い深さから硬くなっている土壌。


 さて、この中でどのグラフのデータがよい収穫を望める土壌だと思いますか?

 
 
作物にとって理想的な土壌硬度分布とは?
 
 正解は、【A】が最もよく、【B】、【C】と続きます。【A】の土壌でジャガイモを栽培すると、粒ぞろいが良いといった特長が現れます。土壌の成り立ちや物理性を考えれば、【A】のような土壌硬度の分布が最も自然に近い状態です。一方、【B】の急に深くなっているところは、硬盤層を表していると考えられます。

 深くなればなるほど硬くなるというのは当然の現象です。単純に下層にいけばいくほど上にある土壌の重量がかかっているためです。

 また、柔らかいというのは、土壌中の空気の量が多いということ、硬いということは土壌中の空気の量が少なくなっていること。深さ方向に徐々に硬くなると、空気の量も徐々に少なくなり、土壌中に存在する生物にも影響を与えていると考えられます。土壌中には、量が多いだけではなく、多様な微生物が存在している方がよいのですが、空気のある状態から空気のない状態に徐々に移行することによって、多様な生物のすみかになり得るのです。例えば、山の腐葉土に覆われた土壌は、まさにこのようになっており、おそらく植物(作物)にとっても理想的な土壌条件であることが想像できます。

 土質も当然関係すると思いますが、どのような土質でも同じ傾向なのであまり気にする必要はありません。土壌硬度分布により土壌と収量の関係を把握できるのです。

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