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今月の数字

米国で販売されている抗生物質のうち、家畜用の割合

米国食品医薬品局(FDA)は4月11日、家畜の成長を促進するために与えている抗生物質の削減に乗り出す方針を発表した。同国で販売されている抗生物質の約80%は家畜の生産者に渡っており、多くが医療目的以外で使われてきた。抗生物質を医療目的以外で与え続けると薬剤耐性菌ができ、薬の効かない菌が人に感染した場合に治療が困難になることから、指針案では獣医師のみが薬を処方できるようにするほか、製薬会社に対しては薬のラベルから成長促進作用があるという記述を削除するよう求めることも検討している。
 抗生物質とは、細菌をはじめとする微生物の増殖を抑制する化学物質で、天然由来の狭義の抗生物質や人工合成の合成抗菌剤が含まれる。日本では、「医薬品」としての利用については薬事法の対象となり、このうち人については厚生労働省、動物については農林水産省の管轄となる。このほか、飼料の栄養成分の利用促進等を目的に「飼料添加物」として用いられる場合は農林水産省の飼料安全法の対象となる。現在、人の医療用に使われる抗生物質は年間520t(1998年)だが、動物用は1,290t(01年)に上る。うち、「飼料添加物」が230t、「動物用医薬品」が1,060tであり、人の医療用の2倍以上の抗生物質が家畜に使用されている計算になる。

 家畜の飼料への抗生物質の添加は畜産経営の大型化によって50年代に始まり、60年代には世界中に広がった。しかし耐性菌が問題になったことから、英国議会では69年、家畜への抗生物質の使用を制限することを勧告したスワン報告を発表し、これを受けてEUではペニシリンなどの人の医療に使われる抗生物質を家畜の飼料に添加することを禁止した。その後、90年代に欧米で新たな耐性菌が広がり、家畜飼料に加えられていた化学構造の似ている抗生物質との関与が疑われたことから、耐性菌問題が再燃。97年には世界保健機関(WHO)が、人の医療に使う抗生物質を家畜の飼料に添加することは好ましくないと勧告を出し、06年にはEUで成長促進のための使用を全面禁止した。

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