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特集

今から始める大麻栽培 無毒大麻を産業に活かす


 北海道では、大麻の試験栽培を始めた後に栽培のルールが厳しくなり、THC成分検査は大学研究者など民間ではなく麻薬取締官でないとダメだということになった。したがって北海道で事実上種の更新ができない状況にあり、現在は最初に入手した種子を少しずつ使用している。


【麻栽培を北海道農業の柱に】

 現在は厳格な管理のなかで10aの試験栽培を続け、建材のサンプルや種とりを行っている。大麻は収益も高く大規模栽培にも適するため、ルールが変われば畑作3品や大豆に続く北海道の農業の柱になると考えている。


■ cace2 栃木県鹿沼市 農産物として麻生産の復権を(大森由久)

【神事用で生き残った栃木】

 ウチは江戸時代から麻を作っていた。栃木は昔から日本一の産地で野州麻はブランドだったから、自分が農家を継ぎに帰ってきた1972年でも麻農家は100軒あった。既存の産地は戦前、戦後のある時期まではそんなに規制は厳しくなかった。戦後しばらくすると立川から米軍が夜中に車で来て麻を取りに来るようになった。その頃栽培していたのは無毒品種が開発される前の在来種だったが、ほとんどTHC成分が無かったのにね(笑)。それでも全国的にだんだん規制が厳しくなり、長野県でも60年まで麻を作っていたが突然生産者が逮捕されたりした。

 もう一つ、栃木県が産地として残れたのは神事と結びついていたから。第二位の生産地だった広島県は漁網が多かった。大麻は強いが糸としては重いから、軽い合成繊維が普及すると衰退していった。長野県は畳糸が多かった。は糸の加工技術が全国でも一番高いが、今では畳の糸に大麻を使っているところなんて全くない。繊維としては滋賀県の近江上布や岩手県の、が伝統工芸としてわずかに残っている。手績みの麻織物は一年にたった二反(二着分)しかできない。このような加工技術を復活させなければならない。


【大麻の需要はまだ増える】

 小売販売を始めてから自分で営業に行ったことはあまりない。神社のしめ縄にしても大麻を使っていないところも多いが、神社が自分で注文するのではなく誰かが奉納するもの。しかし大麻以外のしめ縄も価格は変わらないので、大麻がもっと広がる余地はある。変わったところでは、フランスのブランドメーカーがカバンの試作に使いたいからと精麻を24kg買っていった。もし話が決まれば240kgの精麻が必要になり圃場4反分の収穫量にあたる。

 このように、伝統的な用途を掘り起こすだけでも需要は増えるし、新たな需要も期待できる。建材や麻炭の新たな用途もこれからは増えるだろう。特に麻炭は可能性が大きい。昔はこの辺りの人はおがらから自分で炭を作っていた。ふかふかして細かい麻炭は練り込んで食品としても使える。

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