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自分の畑は自分で診断する

これなら分かる「土と肥料」の実践講座水田の土その2

痩せきった日本の土を上手に使っていく方法として、畔をめぐらし圃場を均平にして水を張るこの水田形態は、夏期の地力消耗を未然に防ぐすばらしい仕組みであることを前回学びました。
水田土壌に今しのびよる人為的障害


 痩せきった日本の土を上手に使っていく方法として、畔をめぐらし圃場を均平にして水を張るこの水田形態は、夏期の地力消耗を未然に防ぐすばらしい仕組みであることを前回学びました。

 この水田システムは畑と違い、水が栄養を運んで来てくれますし、圃場の中で緑ソウ類などが繁殖して無料の緑肥を提供してくれ、なお均平化されたところに張られた水は雑草も防止し、窒素成分をうまく貯え、春先からは少しずつ必要に応じて放出するという素晴しいシステム栽培を実現してくれるのです。

 私たちの先人は、この理屈は知らなくても体験的に田んぼを丹精することが家族の暮らしを守ることであることを悟っていたかのように春先の田起こしから秋の収穫までをまさに身を粉にして働き、この体系を維持してきました。

 このまじめさを次の世代に伝えていくために水田基盤整備事業を全国各地で実施し、その新しい大型圃場では機械化一貫体系が成立して、昔の過重労働からは開放されたのです。そして、農水省が大変な予算を組み込んで行なわれた水稲研究による優れた品種が登場して、水田を取り巻く事態はぼば完結したかのように思われているのかもしれません。

 今回は、大型水田圃場と大型機械化体系という私たちの到達した現在の水稲栽培システムの問題点に科学のメスを入れてみます。


【水稲システムの問題点】

 この話には酸化と還元という言葉が何度も登場しますが、この意味を理解しておかないと困るので説明しておきます。

 ある物質が酸素と化合するとき、水素を失うとき、電子を失うとき、これを酸化されるといい、逆に酸素を失うとき、水素を化合するとき、電子を受け取るとき、これを還元されるといいます。例えば水田土壌の反応によく登場する鉄成分ですが、赤褐色のFe3+イオンがFe2+になるときはFe3+(三価の鉄イオン)+e-(電子)→Fe2+(二価の鉄イオン)という反応式となり、電子を受け取っているので還元されたということになります。

 この酸化・還元のことについては、中学、高校の理科の教科書を見直してみると詳しく述べられています。

 さて、水田では水を張った作土層が酸素の供給を受けられず、還元状態となる還元層ができるわけですが、この還元状態というものに実は、いくつかの段階があってこれを科学的に現場で測定でき、その段階が稲の根に適当であるのか、あるいは不適であるのかということを自分で診断できるのです。

 そこで測定方法ですが、水田土壌の酸化還元電位というものを測るのです。酸化還元電位は英語略文字のORPとも表現されます。そして、pHメーターと似た原理なのですが、白金電極を湛水状態の水田土壌に差し込むことで、その数値はデジタル表示されます。この測定値はEh=~~VあるいはEh=~~mVと表現します。つまり電圧です。

 このEhが+0.365Vより高ければ高い程強い酸化状態にあることを示し、逆に+0.365Vより低ければ低い程強い還元状態といえます。

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