ナビゲーションを飛ばす



記事閲覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック

土門「辛」聞

統計部の作況指数を逆読みすれば福徳利運間違いなし

農水省統計部の生産流通消費統計課が10月30日に公表した「同15日現在の作況指数と予想収穫量」の統計――。違和感を覚えたのは、10a当たり予想収穫量が、全国ベースで前月より1kgも増えていることだった。とりわけ東北主産地で独り負け的状況に陥っている秋田県が、作況指数こそ「100」と前月(9月15日現在)公表の数字と同じだったものの、予想収穫量が前月より2kgも増えている。

高温障害で水不足でも平年作

 秋田県の作柄は、前月公表以降にさらに悪化していた。仲間たちが頻繁に現場レポートを送ってくれた。

 「9月20日を過ぎた頃から、高温障害で稲が弱っていたのは誰の目にも明らかだった。秋田では9月には珍しく2日連続して35℃を超す日があった。この影響をモロに受けたようだ。しかも、8月中旬から雨が少なく、田圃は水不足に陥っていた。例年なら、9月10日頃が刈り取りのピークになるのに、今年はそこがスタートだった。最初の刈り取り分は、まずまずだったが、それ以降はあまり出来が良くない」

 確かに8月と9月の2カ月は降雨量が少なかった。五城目町の気象庁観測ポイントをみれば、今年は、その2カ月で181mmしか降っていない。昨年の3分の1しかない。平年値(1981年~2010年)でも半分程度の降雨量だった。気温も例年にない高温で、30℃を超す日が9月14日から19日まで連続6日間も続いた。とくに17、18の両日は35℃を超す猛暑日だった。9月に猛暑日を記録したのは、後にも先にもこれが初めてのことではないかと思う。平年値(同)との比較でも、8月で1.9度、9月で4度と群を抜いて高かった。

 これだけ気象の悪条件が重なれば、稲の生育に重大な影響を与えることは、常識で考えても分かるはずだ。湯沢・雄勝地区でコメの検査もやっている仲間の大規模生産者は、農水省公表の作況指数は「信用ができない」と前置きしてこう語る。

 「水が足りた田圃の稲は平年作だが、水が使えなかった田圃の稲は、平年に比べて半俵から1俵は収量が落ちた。とくに雨の少なかった内陸部はひどかった。身が細くて収量が少ない上、品質も悪かった。一目見て収量が落ちていることが分かる」

 秋田の作況指数は、東北農政局秋田地域センターが調査した。地域センターは、昔の統計事務所が、農政事務所などと統合して11年9月から発足した地方組織で、旧統計事務所の業務を受け継いだのは生産統計チームだ。県内380カ所の圃場で調査する。同センターがまとめた10月15日時点の「作柄概況」には、このような記述がある。

 「【全もみ数】5月下旬から6月上旬にかけておおむね高温・多照で経過したこと等により穂数は『平年並み』となったものの、弱小穂がやや多くみられること等により1穂当たりもみ数が『少ない』ことから、全もみ数(穂数×1穂当たりもみ数)は『やや少ない』となった。【登熟】穂ばらみ期及び出穂期以降おおむね高温・多照で経過したこと等から登熟は平年に比べて『やや良』と見込まれる。」

 この記述を読んで、同センターに電話をかけてみた。応対に出てくれた担当者に、現場の実態と違うと指摘したら、こう答えてきた。

関連記事

powered by weblio