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特集

農業を、ニッポンを変えるアイデアがここにある A-1グランプリ2012 入賞者のビジネスプラン



【異業種からの挑戦も積極的に評価・応援】

スモール・ビジネス賞を受賞したのは「『世界に一つだけの花』プロジェクト」をプレゼンテーションした片桐新之介氏(NPO法人おもしろ農業・大阪府大阪市)。都市生活者に農業体験サービスを提供するという内容で街中の生花店と花卉農家を巻き込む仕組みに、一定の独自性が感じられた。「その人が苗を植え、育て、摘み取った」世界に一つだけの花(花束)を作ることができる同事業は、母の日をお祝いしたい子供やその父親、週末農業などに興味がある中高年齢層の男性をもターゲットにしていきたいという。葬儀需要も考えているということだ。

被災地復興ビジネスプラン賞を受賞したのは「福島で循環型社会を確立する」というビジネスプランを提案した紺野智之氏((株)そら・福島県二本松市)。現役の医師である紺野氏は介護福祉施設における入所者、通所者のリハビリテーションも兼ねた生産活動への復帰支援と介護施設職員の就農支援を通じて、東日本大震災および原発事故で断絶しかかったコミュニティーの絆を取り戻したいと訴えた。本業は医療・介護という異業種からの挑戦ということもあり、農業ビジネスとしての稚拙さはあったものの、福島県の復興を応援する審査委員からは少ない時間の中で有益な助言が与えられていた。

最後に、惜しくも賞に漏れたファイナリストを紹介しよう。

「『ハイコンセプト農業』が日本農業を進化させる!」というビジネスプランを提案した安田一平・安田瑞希両氏((有)グリーンハート安田花卉・福岡県宮若市)は花卉農家の後継者。具体例を伴ったビジネスプランではなかったため訴求力はほかのプレゼンテーターよりも少なかった点が否めなかったが、自分たちが次代の地域農業を、自分たちのやり方で支えていくという熱い気持ちは十二分に伝わってきた。

そして「生産者を区別する新しい農協設立」という挑戦的なタイトルのビジネスプランをプレゼンしたのは松尾俊一氏(国立ファーム(有)・東京都国立市)。売り手生産者と買い手企業が互いを評価し合い、その評価によってのみ売買の判断を決する新たな農協を販売専門農協として設立するという内容。これは農協法が定めた設立要件さえ満たせば、新規の農協を設立できるという盲点(!?)を突いたもので、着眼点にうならされた。

ファイナリストの2組は、今回は残念な結果に終わったが、入賞ではなく提案したプランを現実化していき、次大会でその成果のほどをアピールしていただければと切に願う。

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