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特集

農業を、ニッポンを変えるアイデアがここにある A-1グランプリ2012 入賞者のビジネスプラン





日本の農業の新しい歴史の転換点ともいうべき、A-1グランプリ2012はこうして幕を閉じました。政治や官、業界団体に頼らず、民間の力で農業界の人材を育成するこのイベントをさらに大きく成長させていけるよう、今後もご支援くださいますようお願い申し上げます。


COLUMN 注目すべき子実コーン国内生産(本誌編集長・昆吉則)

今大会は最後までグランプリの決定に時間が掛かった。グランプリを受賞した柳原孝二氏のプランと「農業経営者」賞を受賞した佐藤幸次氏プラン、どちらにするかで最後まで審査員の票が別れたからである。

既に98%までが中国からの輸入が占めているという榊の生産と販売企画をエネルギッシュに発表した佐藤氏。それに対して、飼料用の子実コーンを水田転作で生産に取り組み、自らこだわりの養鶏業者に向けて販売している柳原氏の将来展望を語るビジネスプラン。結局は1960年代以来、これまで、ほとんど考慮すらされず、実質的に100%輸入に頼ってきた子実コーンの国内生産という柳原氏のテーマは、我が国の飼料自給の在り方に一石を投じるプレゼンテーションであり、グランプリ受賞となった。

共に国内需要のほぼ全てを輸入に頼る形になっている品目について、こうすれば国内産に新しい可能性が生まれるという発表であり、前例に縛られない新しい世代の農業経営者の成長を示すものであった。以下、柳原氏の発表の背景とその可能性を示す解説を加えたい。


★  ★  ★  ★

我が国の飼料用コーンの生産は、1960年代初めまでは約11万tの生産があった。しかし、その後急激に減少し、現在ではほぼ100%輸入されるようになっている。食文化の変化にあわせて、輸入量は年々増加し、現在の年間輸入量は約1900万tに達している。しかも、その約9割が米国からの輸入であり、残りの約1割がブラジルやアルゼンチンから。しかも、日本の輸入量は米国のコーン輸出量全体の3分の1に相当するという。極めて偏った米国依存の関係にある。

柳原氏は昨年、約5haの子実コーン栽培を行なったが、その収量は乾物重で10aあたり約700~900kg程度。FAOの統計によれば、2010年で世界一の収量を誇るイスラエルでは10aに換算すると平均で2839kg。旱魃被害などを受けやすい米国でも平均で959kgである。

近年では十勝農試で僅かにテストされた以外、我が国では50年以上ほとんど子実コーンの栽培に関する研究はなされていない。比較的水分を必要とするコーンの栽培にとっては米国などより水田転換畑の方が望ましい栽培条件なのではとも思える。

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