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――飼料作物交付金、すなわち転作奨励金は減反制度があるのが前提になっている。しかし、いずれ減反制度は近い将来なくなると考えるのが自然だろう。そうなった場合、経営として果たしてやっていくことができるのか。さらなる規模拡大を目指すことでコスト削減をするなど、どういった努力をすべきと考えるのか(山下一仁審査員)。
柳原 プレゼンした試算というのは、実は当農場ですべて生産するのではなく、地域の外部の農場に生産委託した場合にかかるコストをベースにしているもの。その中には労賃や燃料費などの種々のコストが入っている。それでも5000円の利益を出しているので経営としては成立しており、現行の3万5000円の転作奨励金がなくなってもやっていける。当農場ではコンバインを実際に所有してもいるので、さらなるコスト削減も可能である。畑起こしの回数を減らすといった作業体系も変えることでもできるだろう。また、反収は現在は800kgだが、米国では約1.4t。この取り組みをする生産者が増えればの話になるだろうが、試験場でも増収できる種子の研究をしていきたいと言っており、そうなった場合は採算が合うことにはなっていくだろう。
【審査員による講評】
日本国内で飼料自給の可能性という日本農業に大きなインパクトを与えるビジネスプランであると同時に、連作障害という北海道の畑作農業が抱える宿痾を解決しうるものであることについても、松尾雅彦審査委員らから高く評価された。なお本ビジネスプランの意義についての解説は次頁に掲載しているので参照いただきたい。
■ 本間正義審査委員からひとこと
日本の農業の将来をきちんと位置づける、非常に大きく広がりのあるビジネスプランであると評価しました。飼料用トウモロコシは日本の農産物の中で最も比較優位のないもの、輸入せざるをえないものというのが一般的な見方だが、私自身は国産でも可能性はあると考えてきました。しかし、こんなにも早く実現できるというのが驚きでありました。しかも、ユーザーである養鶏業者もきちんと見つけているという点も評価できました。まだまだコスト面で厳しい部分はあるでしょうが、だからこそ大きな可能性、夢を秘めたA-1グランプリにふさわしいビジネスプランであったと思います。
月刊『農業経営者』賞獲得●「地域の榊が日本一の榊を産む」/(株)彩の榊 佐藤幸次(東京都青梅市)
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