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【未来思考の農業IT 農機オタクのおもちゃで終わらせないために】
圃場管理システム(1)
- 第1回 2013年02月15日
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IT技術の解説と言えば、たいてい「これまでの勘や経験に頼る農業をデータ化する」と書かれるのが一般的だろう。しかし、近年普及してきたIT技術はこの限りではない。経営者向けの「意思決定支援システム」という従来からのデータ管理に、オペレータ向けの「作業支援ツール」が加わったという印象を受ける。分かりやすい言葉に言い換えれば、前者は「農業経営」の判断を助け、後者は「農作業」を支援するということになる。後者の代表格は、農業用GPSガイダンスである。
前述の2つの技術について、ユーザーは誰かという質問を投げるとお国柄が出る。欧米では、コントラクタが進み、たいてい農作業に従事する人と経営者(農場オーナー)は異なる。いずれの技術にもそれぞれユーザーが存在するので、技術を導入する際の判断が至ってシンプルに行なわれるのだ。
一方、日本では経営者が自ら農作業を行なう経営体が圧倒的に多く、両方の技術を同じ農業経営者が利用する。作業の快適性を優先するべきか、経営効果の高い技術に投資するべきか、という迷いはここに由来するのだ。
今回、本連載で紹介するIT技術は、特に土地利用型農業の技術に注目している。なぜなら、施設園芸の温湿度管理技術や遠隔操作を行なう技術は既に確立され、機能と予算次第で自由に選べる状況にあると認識しているためである。もちろん、スマートフォンやタブレット端末が普及したことにより、ハウスの環境制御技術も進展しているだろう。だが、GPS(全地球測位システム)やGIS(地理情報システム)を安価に利用できるようになったことによって技術は大きな革新を遂げた。と同時に、前述の経営者層とオペレータ層の重複という特徴はむしろ、土地利用型農業において顕著な傾向だからだ。
ところで、私は農業機械の最先端の情報に詳しい方々に敬愛の意を込めて、「農機オタク」と呼ばせていただいている。好奇心と鋭い観察力を持つ彼らは、新しい機器を吟味し、積極的に導入してきたやり手でもある。GPSガイダンスやスマートフォンなどを導入することによって、楽しく作業できるようになったかもしれない。しかし、おもちゃとして作業の快適性を楽しむだけでなく、経営資源としての活用方法をもっと探ってほしい。決して安い投資ではないIT機器をフル活用していただきたいというのが読者の皆さまへの願いである。
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